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Channel: ゴエモンのつぶやき
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ひと:茶木敏行さん 障害者が加わる合唱団を結成

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 「緻密さを求める音楽もあるが、歌いたい人を排除せず、みんなで作り上げる音楽もあるはず」

 奈良市を拠点に、今月結成した合唱団「NSK合唱Combinare(コンビナーレ)」。総勢270人で練習を始め、目の不自由な自分を含め約30人に体のハンディや知的障害などがある。

 2歳で、徐々に視力を失う網膜色素変性症になった。京都府立盲学校高等部1年の時、出会いがあった。音楽講師だった若手声楽家。放課後、彼が音楽室で練習する姿に興味が湧いた。楽譜をルーペで拡大して学び、大阪芸大に進学した。

 90年、ドイツ・ケルンの歌手養成機関へ留学。アルバイトで学費を稼ぎながら、教会の専属歌手を務めたり、多くのオペラ公演に出演した。

 しかし、7年後、ほぼ視力を失った。オペラは断念せざるを得ず帰国した。古里の関西に戻り、歌曲などの舞台で活躍していた04年、大阪市であったある合唱団の練習を聴きに行った。知的障害の女の子が楽しそうに歌っていた。しかし突然、歌声が消えた。音程が合わないから外れてもらったと聞かされた。「それでいいのか」。強い疑問が活動の原点になった。

 Combinareは、来年1月に奈良市で演奏会を開く。挑むのはショスタコービッチの大曲「森の歌」。第二次大戦からの復興がテーマだ。「人々が力を合わせ復興をやり遂げるというこの曲と、私たちの活動を重ねて歌いたい。簡単に越えられる山ではないけれど」 

 【略歴】茶木敏行(ちゃき・としゆき)さん 「みんなで音楽を」と障害者が加わる合唱団を結成。京都市出身。同市立芸大大学院修了。宗教音楽や歌曲で活躍し、CDにドイツ歌曲集「ある旅路で」などがある。50歳。

毎日新聞 2013年01月19日 00時31分

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