大津市は二〇一三年度にも、特別支援学校卒業生を市立の障害者支援施設に受け入れ、二年間にわたり社会生活についての講義や職業訓練などをして自活や就労を支援する事業に乗り出す。市によると、特別支援学校卒業生の自立支援プログラムを自治体が事業として進める例は珍しく、担当者は「特別支援学校卒業生が“自分探し”をする場にもなれば」と期待している。
計画では、同市馬場二の市立やまびこ総合支援センター内にある自立支援事業所「ひまわりはうす」を会場に、特別支援学校高等部の卒業生六人程度を募集、二年間のカリキュラムを実施する。一般教養や社会生活のマナー、一人暮らしに必要な調理などの講義、実習を実施する。一般企業などへの就職を目指す上で必要な職業訓練も検討していく。
市や特別支援学校の関係者によると、特別支援学校を卒業した軽度の障害者は、民間の障害者就労施設などで菓子や日用品作り、機械作業などをするケースが多い。教員が手助けしてくれる学校と異なり、仕事のミスでしかられるなどし、職場になじめず、辞めてしまう人もいる。卒業後すぐに社会人として働くことに不安を抱く生徒も少なくない。
県内のある特別支援学校では三年ほど前から、高等技術専門校や職業訓練をする就労移行支援事業所で学び、一般企業への就職を目指す生徒が増えてきた。この学校の教諭は「就労前にさまざまな人と接して身に着けなければならないこともあるが、現状ではそうした機会が障害者にはない」と話し、市の計画を歓迎する。
特別支援学校の卒業生の支援について、越直美市長は二十一日に市内の県立北大津養護学校であった保護者との懇談会で「卒業後すぐに働くのではなく、健常者が大学に行くのと同じようなものがあってもいい」と話した。

特別支援学校卒業生への講義を実施する「ひまわりはうす」がある市立やまびこ総合支援センター=大津市馬場2で
中日新聞-2013年1月23日