阪神大震災(1995年)の被災者向けに自治体が都市再生機構(UR)などから20年契約で借り上げた復興住宅の期限が迫っている問題で、兵庫県西宮市は20日、要介護者や重度の障害者に限り、期限を最大5年延長すると発表した。同市はこれまで例外なしの転居を住民に求めてきたが、方針を変更した。
この問題では、同県宝塚市も期限延長を決めてURと協議しており、県と神戸市は高齢者や障害者に限って延長できるか検討している。今回の西宮市の決定は、他の自治体にも影響を与えそうだ。
西宮市はURから5棟447戸を借り上げ、年間約5億円の賃貸料のうち6割を負担している。15年9月から順次、期限を迎えるため、市は昨年9月、市営住宅への転居募集を始めた。住民らは「西宮UR借り上げ市営住宅連絡会」を組織し、「入居時に期限の説明を聞いておらず、高齢者らには転居自体が負担」などとして期限延長を求める署名を集めてきた。
市が示した延長の対象は、要介護度3〜5の認定を受けた人か重度の障害者。現住所から近い複数の市営住宅への入居申請を出してもらい、空きが出れば転居するのが条件。転居までに最大5年間、期限を延長する。高齢者でも条件に当てはまらなければ延長は認めないという。
記者会見した河野昌弘市長は「復興住宅の住民以外にも被災した人はいる。一部の住民にだけ市が支援を続けるのは不公平で、どうしても転居困難な人にのみ支援をする」と述べた。
同連絡会の松田康雄代表は「市が示した条件に当てはまる住人はわずかだが、該当しなくても体の不自由な人は多い。こうした人を切り捨てるのか」と批判し、引き続き全住民の入居継続を求める。
復興住宅を借り上げたのは、兵庫県と、神戸、宝塚、西宮、尼崎、伊丹、大阪府豊中の6市。伊丹市も延長の方向で検討中だが、豊中市は「原則転居」の方針で、尼崎市は対応を決めていない。
毎日新聞 2013年02月20日 23時34分
この問題では、同県宝塚市も期限延長を決めてURと協議しており、県と神戸市は高齢者や障害者に限って延長できるか検討している。今回の西宮市の決定は、他の自治体にも影響を与えそうだ。
西宮市はURから5棟447戸を借り上げ、年間約5億円の賃貸料のうち6割を負担している。15年9月から順次、期限を迎えるため、市は昨年9月、市営住宅への転居募集を始めた。住民らは「西宮UR借り上げ市営住宅連絡会」を組織し、「入居時に期限の説明を聞いておらず、高齢者らには転居自体が負担」などとして期限延長を求める署名を集めてきた。
市が示した延長の対象は、要介護度3〜5の認定を受けた人か重度の障害者。現住所から近い複数の市営住宅への入居申請を出してもらい、空きが出れば転居するのが条件。転居までに最大5年間、期限を延長する。高齢者でも条件に当てはまらなければ延長は認めないという。
記者会見した河野昌弘市長は「復興住宅の住民以外にも被災した人はいる。一部の住民にだけ市が支援を続けるのは不公平で、どうしても転居困難な人にのみ支援をする」と述べた。
同連絡会の松田康雄代表は「市が示した条件に当てはまる住人はわずかだが、該当しなくても体の不自由な人は多い。こうした人を切り捨てるのか」と批判し、引き続き全住民の入居継続を求める。
復興住宅を借り上げたのは、兵庫県と、神戸、宝塚、西宮、尼崎、伊丹、大阪府豊中の6市。伊丹市も延長の方向で検討中だが、豊中市は「原則転居」の方針で、尼崎市は対応を決めていない。
毎日新聞 2013年02月20日 23時34分