盲導犬などの「補助犬」を公共施設や飲食店で受け入れるよう義務づけた身体障害者補助犬法が施行されて、今月で10年。ただ、実際には営業上の理由などから補助犬の同伴を断る店も多く、法律の趣旨が広く浸透しているとは言えない。そうした中、視覚障害がある広島市東区の今井敏代さんが「盲導犬キキ」(B5判32ページ、1600円)を自費出版。ともに歩んだ約10年間をつづり、理解を呼びかけている。
今井さんは5歳で脳腫瘍を発病し、5回の手術を経て1996年に全盲になった。会いたい人に自由に会えず、旅行もできない日々に「生きる意味を失いかけた」。しかし2000年、雌の盲導犬・キキと出会って転機が訪れた。心に寄り添おうとするキキへの信頼が増し、やがて「一緒ならどこにでも行ける」と思えるようになった。
スーパーや百貨店での買い物、レストランでの食事、諦めていた新潟県への旅行にもともに出かけ、会いたかった小学校時代の恩師との再会も果たせた。「私の『目』になってくれただけでなく、元気と勇気、そして夢を与えてくれた」
一方、法律は必ずしも期待通りに作用していない。飲食店などでキキの同伴を拒まれたこともあり、「法律を説明しないと分かってもらえず、改善されてはいるけど、まだ十分じゃない」。一般家庭のボランティアや訓練士によって、人への愛着心や、必要とされることへの喜びを育まれる盲導犬。キキは11年7月に亡くなったが、ともに過ごした日々を紹介し、役割を伝えたいと出版を決めた。
本には、アマチュアカメラマンらが撮影した写真65枚とその時々の思い出を掲載。生後まもない頃の様子から、一緒にバスや電車に乗り、花見をするなど、キキとのふれ合いをたどった。
26〜28日にはイオンモール広島府中(府中町)で、掲載写真などを集めた「盲導犬って素晴らしい!」を開く。本の希望者は住所(郵便番号)、名前、電話番号、希望冊数を書いて今井さんへファクス(082・262・1672)。
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「本を通じて盲導犬に対する理解を深めてほしい」と話す今井さん(広島市東区で)
(2012年10月26日 読売新聞)
今井さんは5歳で脳腫瘍を発病し、5回の手術を経て1996年に全盲になった。会いたい人に自由に会えず、旅行もできない日々に「生きる意味を失いかけた」。しかし2000年、雌の盲導犬・キキと出会って転機が訪れた。心に寄り添おうとするキキへの信頼が増し、やがて「一緒ならどこにでも行ける」と思えるようになった。
スーパーや百貨店での買い物、レストランでの食事、諦めていた新潟県への旅行にもともに出かけ、会いたかった小学校時代の恩師との再会も果たせた。「私の『目』になってくれただけでなく、元気と勇気、そして夢を与えてくれた」
一方、法律は必ずしも期待通りに作用していない。飲食店などでキキの同伴を拒まれたこともあり、「法律を説明しないと分かってもらえず、改善されてはいるけど、まだ十分じゃない」。一般家庭のボランティアや訓練士によって、人への愛着心や、必要とされることへの喜びを育まれる盲導犬。キキは11年7月に亡くなったが、ともに過ごした日々を紹介し、役割を伝えたいと出版を決めた。
本には、アマチュアカメラマンらが撮影した写真65枚とその時々の思い出を掲載。生後まもない頃の様子から、一緒にバスや電車に乗り、花見をするなど、キキとのふれ合いをたどった。
26〜28日にはイオンモール広島府中(府中町)で、掲載写真などを集めた「盲導犬って素晴らしい!」を開く。本の希望者は住所(郵便番号)、名前、電話番号、希望冊数を書いて今井さんへファクス(082・262・1672)。

「本を通じて盲導犬に対する理解を深めてほしい」と話す今井さん(広島市東区で)
(2012年10月26日 読売新聞)