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まるで?盗賊”? 老人や障害者から席を奪う、「ずうずうしい妊婦たち」

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妊娠中であることをいいことに、気づかいを強要したり優先席に座れるのは当たり前、なんて考えるずうずうしい妊婦さん、周囲にはいませんか? 今回は独身男女が目撃した、ずうずうしい妊婦について尋ねました。

■自己中が許されると思っている

・「妊婦だから優遇されて当たり前のような態度は迷惑です」(32歳/自動車関連/技術職)

・「どんなことでも自分が優先だと言う」(31歳/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)

・「周りからの気づかいを当然の権利だと思っている人がいた」(39歳/医療・福祉/専門職)

・「妊婦だからと言いながら列や席の順番を守らずに先々進んでいく」(24歳/小売店/販売職・サービス系)

妊娠すると、日に日におなかは重くなるし、動くのだって一苦労。そんな妊婦さんをいたわる気持ちは大切ですが、当人がそれを当たり前と解釈するのはちょっと違うかも。いたわりの行為に感謝の気持ちがなかったり、周囲への気遣いが見られない行動は避けたいものです。

■電車内でのマナー違反

・「優先席の前で『妊婦だから座らせて』と寝てる人を起こしてた時」(31歳/アパレル・繊維/販売職・サービス系)

・「老人や障害者を前にして、席を奪う」(38歳/情報・IT/技術職)

・「電車で列に割り込んで我先に座ろうとする妊婦。そんなことしなくても席くらいゆずる」(26歳/建設・土木/秘書・アシスタント職)

妊娠中、長く立っているとお腹は張ってくるし、むくみもひどいし……。だからといって、必要以上の「妊婦アピール」は周囲も不快に思います。具合が悪くてしんどいときも、周囲への敬意は忘れないようにしたいですね。

■会社からの待遇・優遇に対して感謝がない

・「育児休業中の給与について、愚痴られた」(26歳/団体・公益法人・官公庁/その他)

・「ずうずうしいかわからないけど、職場の妊婦が切迫早産で突然求職になったとき、何の申し送りもなくとても困った。『休む』という連絡はできるんだから、その場である程度送るか、後日でもメールや電話くらいいくらでもできるだろうに」(35歳/医療・福祉/専門職)

妊娠したことによって、解雇されたり早期退職を促されたりする職場のマタハラが多く報告される中、きちんと育児休業が取れて、休業中も給与が支払われるのはありがたいこと。あたり前と思って感謝の気持ちがないのはどうでしょうか。仕事の引き継ぎもきちんとしておかないと、後を任された人も困ってしまいますね。

■まとめ

いかがでしたか? 一部の妊婦さんの行為によって、妊婦さん全体に対するイメージが悪くなるのは避けたいもの。妊娠は大変なのはわかりますが、大変な思いをしているのは自分だけではありません。「妊婦の特権だから!」と開き直らず、周囲への思いやりも忘れないでほしいですよね。

マイナビウーマン調べ
調査日時:2016年7月8日~7月10日
調査人数:403人(22歳~39歳の男女)

 2016年08月21日    マイナビウーマン


親子の距離 それぞれに自立

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 「ねえねえ野球好き? お酒は飲む? どこ住んでる?」。さいたま市桜区にある障害者自立支援組織「虹の会」を取材に訪れると、決まって市丸敦啓(39)の質問攻めに遭う。顔をくしゃくしゃにして笑い、人懐っこい性格。今でこそ同会のマスコット的存在だが、十年前は問題児だった。

 北本市の実家から同会のリサイクル店「にじ屋」に通い始めたのは二〇〇六年三月。「すぐに『逆ギレ』していた」と専従職員の外口孝治(52)。常に目は三角につり上がり、カッターナイフを持ち出したことも。二週間の実習の末、他の障害者全員に「おまえなんかとやりたくない」と拒否されるほど協調性がなかった。仕事後に映画に誘っても「行きたくない」と家路を急ぐような日々が続いた。

 市丸が変身したきっかけの一つが、〇九年四月の「脱腸事件」。同会の旅行中に鼠径(そけい)ヘルニアを発症し、外口は北本市の病院ではなく、にじ屋の近くで入院させるよう市丸の家族に勧めた。市丸は「俺手術したんだよ。みんなが見舞いに来てくれた」とうれしそうに振り返る。

 一一年三月にはこんなことも起きた。知的障害者が起こした刑事事件の裁判の傍聴に行くと、柵の向こう側の法廷に現れた被告人を見て、市丸は「あっちに行きたくない。みんなと働けなくなる」と外口に泣きついた。いつの間にか、虹の会は大切な居場所になっていた。一二年四月、実家を出て暮らし始めた。

 市丸は現在、掃除や食事作りに専従職員の助けを借り、小倉章義(36)、久保魁(かい)(24)と同じ部屋に住んでいる。「小倉はいびきがうるさい。魁には一回かまれた。でも、みんなで住むのはいい感じです」。知的障害者が三人。毎日騒動を起こしながら、同居生活を楽しんでいる。

 母親(68)に言わせれば「敦啓は変わったというより、元の明るい性格に戻った」。以前に働いていた母親の知人の雑貨店では、客に親しく話し掛けるたび、上司に怒られた。「自分を受け入れてもらえず、イライラが募っていた」

 抱っこしても体を寄せてこないなど、赤ん坊のころから違和感はあった。小学校入学前に「自閉傾向」と診断されたが、地域から断絶するのはおかしいと、小中学校は養護学級を断り普通学級へ。中学では柔道の絞め技の練習台になるなど、いじめも受けた。

 障害者の親として実感したのが「日本社会は産んだ者に責任を強く求める」こと。学校や病院では必ず「普通分娩(ぶんべん)でしたか」と質問される。市丸一人でコンビニに行けば近所の人に「なぜ親がついて行かない」と聞かれる。「踏ん張らなきゃ」。いつしか抱え込んでいた。

 初めて同会を訪ねると障害のことは細かく聞かれず、「とにかく大事なのは本人の意思」とだけ言われ、驚いた。親が運営に関与しないのが同会の基本方針。にじ屋への出入りも禁止と徹底している。外口は「反抗期などで自然に離れていくのが親と子。でも障害があると同じ距離のまま大人になり、手放したくても抱え込んでしまう。親にも子にも自分の人生を生きてほしいから」と説明する。

 市丸だけでなく母親も変わった。現在、趣味の洋裁や読書で忙しい日々だ。「障害者の親だからこそ価値観が変わり、人生の幅が広がった」と振り返る余裕も生まれた。市丸の帰省は盆と正月だけ。実家の部屋には、母親の織り機が鎮座している。 =文中敬称略

アパートの自室でカメラに笑顔を見せる市丸さん(左)と同居人の小倉さん(中)、久保さんの3人

2016年8月21日   東京新聞

点字ブロック上に柵、転倒 視覚障害者が重傷 兵庫の駅で先月

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 兵庫県姫路市の山陽電鉄西飾磨駅で七月、視覚障害のある同市の五十代男性が階段の踊り場を歩行中、点字ブロックの一部をふさいでいた工事用のフェンスに白杖(はくじょう)を引っ掛けて転び、左の太ももを骨折する重傷を負ったことが、同社への取材で分かった。同社によると、男性は七月二日午前七時十分ごろ転倒。フェンスは階段の壁を補修するために設置していた。

 同社は男性に謝罪し、フェンスを点字ブロックにかからないようずらした。「障害物を置かないよう徹底する」としている。

 視覚障害者を巡っては今月十五日、東京都港区の東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で、盲導犬を連れた男性がホームから転落して電車にはねられ、死亡する事故があった。

2016年8月21日   東京新聞

十勝の障害者ら衝撃 安全環境の整備を

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 東京都内の地下鉄駅で15日に盲導犬を連れた男性がホームから転落し、電車にひかれて死亡した事故は、十勝管内の視覚障害者や関係者にもショックを与えている。車移動が中心の十勝などでは、歩・車道も含めた安全環境の整備を進める必要性や、周囲の気配りが事故防止につながるとの指摘も聞かれている。

 「盲導犬は通常、線路側を歩くよう訓練されているので事故は驚いた。ただ、駅のような場所は風の吹き方や人の雑音の多さで方向感覚を失いやすい。私は1人では行かないし、駅員などの助けを借りる」。帯広市内ではり灸治療院を運営する森本義弘さん(71)は「痛ましい事故」とした上でこう話した。

 森本さんは30代後半に白内障や網膜剥離などのため、死亡した男性と同様に中途で全盲となった。1987年から盲導犬を連れている。十勝で数少ない所有者の一人で現在4代目だ。

 十勝視覚障害者の会の鈴木英晴会長も「同じような(転落などの)事故がなくならない。駅でいえば、ホームドア(線路に面する部分に設置する仕切り)はほとんど付いていない。一日も早く必要な対策を講じてほしい」と力説する。

 JR北海道によると、道内は北海道新幹線の駅以外にホームドアはなく、他の駅で進める予定はないという。ただ、「管内では帯広駅に点字ブロックがある。事前に話をしてくれれば、職員が介助などは可能な限り対応したい」(釧路支社)と話している。

 一方、関係者は「十勝で怖いのは車や自転車」と口をそろえる。昨年、徳島で盲導犬連れの男性がバックしたダンプに追突され、新潟で視覚障害の姉妹の1人が軽自動車にひかれてともに死亡した事故もあった。

 森本さんは「ひやっと体験は頻繁。車にひかれた仲間もいる」と打ち明ける。鈴木会長も「電気自動車などエンジン音がしないと判断しかねる」と訴える。

 同会では、ガイドヘルプボランティアくるみの会(久保寧男会長)と合同で2009年から年2回、市内公共施設周辺の信号や点字ブロック、障害物の状況を、行政担当者らとチェックし、必要に応じ改善を求めている。「せっかく整備しても機能的でないこともある」(久保会長)と言い、点字ブロックの配置を変更したこともある。

 同会は昨年、会員らを対象にJR帯広駅で初のガイド講習も実施、列車内の移動時の注意点などを確認した。今年も11月に講習を計画する。久保会長は「点字ブロックの上に物を置かない、危険な状況を見たら声を掛けるといった周囲の配慮も重要だ」としている。

相棒の盲導犬を連れ、「ひやっとすることもあるが、障害者も健常者も互いに一声掛ける勇気が必要」と訴える森本さん

2016年8月21日   十勝毎日新聞

不屈の精神 障害者の就労支える

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◎社会福祉法人一歩一歩福祉会理事長 星孝明さん(61)=仙台市青葉区、7月29日死去=

 「絶対に、僕は死なないから大丈夫」。3月下旬、大腸がんで余命半年の宣告を受けると、妻のめぐみさん(47)にこう言い聞かせた。幼い頃に筋ジストロフィーを患いながら、障害者の自立を目指して電動車いすで奔走し続けた不屈の人は、新たな病にもひるんだ様子を見せなかった。
 障害者が働ける場をつくろうと1979年、仲間5人と通所型施設「仙台もぐらの家」を、仙台市青葉区のアパートの一室で始めた。伝票整理の内職を請け負ったが、初任給は1人当たり2000円。翌年に企業と電線解体作業の受注契約を結び、事業を軌道に乗せた。
 設立メンバーの一人で、もぐらの家の所長を務める曽根朝男さん(64)は「当時、障害者にとって就職の壁はとてつもなく高かったが、そこに風穴を開けようとした。先見の明があった」と振り返る。
 借地を転々としながら事業を続け、81年ごろから自前の作業場の建設を目指した。毎週末、街頭カンパに立ち、コンビニエンスストアにも募金箱の設置を頼みに回った。活動が実を結び約3年後、現在地の青葉区折立に作業所を構えた。
 95年に社会福祉法人「一歩一歩福祉会」を設立。2003年までに市内2カ所に通所型施設を新設し、さらに仕事に打ち込んだ。施設の管理から会計事務まで一手に引き受け、亡くなった当日も体調不良を押して職場に顔を出した。
 福祉会が運営する3施設には現在、約100人の知的障害者らが通う。高齢化が進み、「彼らの親亡き後も、安心して生きていける新しい仕組みを作らなければならない」と意気込んでいたさなかの逝去だった。
 「彼が抜けてしまった穴はあまりに大きい」。約40年間、一緒に走り続けてきた曽根さんは唇をかんだ。

仙台市青葉区折立に「仙台もぐらの家」を完成させた頃の星さん(右)と曽根さん=1984年、旅行先の秋田県内で

2016年08月20日   河北新報

障害者差別解消へ啓発を 松山で研修会

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 障害者差別解消に向けた研修会が20日、愛媛県松山市堀之内の松山市民会館であり、法施行に先駆けて差別解消に関する条例を制定した熊本県の相談員らが、具体的な相談事例や解決への流れについて講演した。
 4月に障害者差別解消法と愛媛県の条例が施行されたのを受け、愛媛障害フォーラムが主催。当事者や支援者、行政関係者ら約120人が耳を傾けた。
 熊本県広域専門相談員の渋谷安紀子さんは、精神障害者が不動産業者に「会社の方針で精神障害者には物件を紹介できない」と言われたとの相談事例を紹介。
 業者は、特定の精神障害者によるトラブルが相次いだとして内規を作ったが、「障害者にどう対応したらいいか分からない」と困っていたと分かり、「条例を基に、支払い能力や禁止事項を守れるかなど健常者と同じ審査基準で判断するようお願いすると、理解してくれた」と語った。

【写真】当事者や支援者が障害者差別解消への取り組みを考えた研修会

2016年08月21日   愛媛新聞

リオ五輪閉幕 躍進日本勢、東京へ期待つなぐ

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メダル最多41個、「金」は世界6位に

 【リオデジャネイロ=本池英人】第31回夏季五輪リオデジャネイロ大会は21日、リオデジャネイロ市のマラカナン競技場で閉会式を行い、17日間の熱戦に幕を下ろした。日本のメダル総数41個は前回2012年ロンドン大会の38個を上回り、史上最多となった。次回20年は東京大会で、64年以来、56年ぶりに夏季五輪が日本で開催される。

  日本のメダルの内訳は金12、銀8、銅21で、金メダル数は3大会ぶりに2桁に届き、国別ランキングではロンドン大会の10位から6位に上がった。メダル総数では7位だった。体操男子の19歳、白井健三や卓球女子の15歳、伊藤美誠の10代のメダリストも誕生し、金メダル数3位を目指す4年後へ期待の膨らむ戦いぶりを見せた。

 金メダル数1位は46個の米国で、27個の英国が26個の中国を抜いて2位となった。国家主導のドーピング問題で選手団が約3割減となったロシアは19個で、4位の座を守った。5位は17個のドイツだった。

 式典では、五輪旗が国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長から、東京都の小池百合子知事に手渡された。その後の東京のパフォーマンスでは競泳の金メダリスト、北島康介さんらが登場した。東京五輪は20年7月24日に開幕し、新たに野球・ソフトボール、空手など5競技18種目が追加される。

 来月7日には障害者スポーツの祭典、リオデジャネイロ・パラリンピックが開幕、18日まで22競技で熱戦を繰り広げる。

5/9 "See You in Tokyo"  【#リオ五輪】#閉会式 では「SEE YOU IN TOKYO」の文字が映し出され、会場に花火が上がりました。4年後の東京五輪・パラリンピックはどんな大会になるでしょうか(柏)  http://s.nikkei.com/2alDfn7  #日経リオ #nikkei_rio #rio #riodejaneiro #rio2016 #olympics #olympic #リオ #リオ五輪#リオデジャネイロ #リオオリンピック #オリンピック #五輪 #ClosingCeremony #RiotoTokyo

閉会式 では「SEE YOU IN TOKYO」の文字が映し出され、会場に花火が上がりました。4年後の東京五輪・パラリンピックはどんな大会になるでしょうか

2016/8/22    レスポンス

=エール ひと交差点= 難聴なんの 憧れの空へ

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バルーンパイロットへ挑戦

 ■宮本泰弘さん(32)唐津市 

 バルーンのパイロットを目指す聴覚障害者がいる。唐津市の会社員、宮本泰弘さん(32)。5歳のころに見た大空に浮かぶバルーンに憧れ、念願のクラブ入りを2年前に果たした。パイロット資格を得るための試験が大きな関門で、1人で地上と無線で交信しなければならない単独飛行が難しい。音声情報をどうやってやりとりするか、競技関係者らとともに前例のない挑戦を続けている。

 ■「筋がいい」

 宮本さんはビーバーバルーンクラブ(佐賀市)の訓練生。会社の休日を利用し、嘉瀬川河川敷に足を運ぶ。バスケットの組み立て方など基本から学び、鶴崎伸一会長と一緒に乗り込み、水平を保って飛行するためのバーナー調節訓練も繰り返してきた。累計の飛行時間は約2時間になる。

 「筋がいい」と評される宮本さんだが、電車の通過音が線路の高架下でなければ聞き取れないくらい、聞こえづらさがある。バルーンでは、バーナーに点火した瞬間の「ボッ」という音がようやく聞き取れる。

 宮本さんがバルーンと出会ったのは、佐賀県立ろう学校幼稚部に通っていた1989年。この年の秋、佐賀で初めて熱気球世界選手権が開かれた。会場の嘉瀬川河川敷にほど近い佐賀市鍋島町の学校の空には、色とりどりのバルーンが浮かび、思わず目を奪われた。

 海外からの選手が学校を訪れ、係留飛行の体験をさせてくれた。初飛行の瞬間は鮮明に覚えている。「ふわーって感じがした。パイロットは背が高くて、操縦する姿がかっこいいなと思った」。以来、父親に毎年、佐賀の大会に連れていってもらうようになった。

 高校生のころ、近隣のバルーンクラブに所属を申し込む手紙を送った。しかし返事が来ることはなく、宮本さんは肩を落とした。

 転機は2014年。佐賀市にできた県聴覚障害者サポートセンターの伊東康博センター長(70)が、佐賀バルーンフェスタ組織委員会に働き掛け、現在のクラブへの所属が決まった。

 バルーン競技は「チェイスカー」と呼ばれるバルーンを追跡する車とのやりとりが欠かせない。地上からは別のバルーンの動きなど空の状況を巡る音声情報などが逐一もたらされる。

 ■必須の単独飛行

 パイロットの資格取得試験は1人で飛ぶソロフライト(単独飛行)が必須だ。日本気球連盟事務局は「補聴器などを利用して適性基準がクリアできるのであればソロフライトも可能」としている。ただ、「空に浮かぶ周りの航空機や地上に対し、全てに共通した安全配慮を行えることが求められる」とも説明する。聴覚を含め「人間の五感が多岐にわたり必要になるのが熱気球の操縦」として、試験方法や適性基準を見直す姿勢までは示してない。

 資格試験で地上からの情報をどう得るか見通せないが、宮本さんはもちろん、クラブもサポートセンターも知恵を絞っている。

 「パイロットになれたら最初に父親を乗せたい。高所恐怖症かもしれないけれど」と宮本さんは笑う。資格取得には、障害がなくても3年ほどかかるが、「なるべく3年で取る。間に合わなくても諦めない」。夢を持ち続けて27年、バルーンのパイロット以外のものになりたいと思ったことは一度もない。

=エール ひと交差点= 難聴なんの 憧れの空へ

2016年08月22日    佐賀新聞


義足トップアスリートのリオ五輪出場を阻んだ「悪魔の証明」とは  - 野口俊晴 ファイナンシャル・プランナー 

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■「悪魔の証明だ」

さる都知事選のさなか、ある候補者が週刊誌で自身の女性問題について報じられた時、この言葉を発したといいいます。「悪魔の証明だ」。つまり、痴漢冤罪と同じでやっていないことを証明することは不可能である、ということを言いたかったようです。
本稿はもとより、都知事候補について書くものではありませんが、この言葉で、はたと今回の五輪に思い至ったのです。義足のジャンパーにしてトップアスリート、走り幅跳びのマルクス・レーム選手(ドイツ)のことです。彼は、2015年に8メートル40の記録で優勝したにもかかわらず、リオデジャネイロ五輪の出場資格を与えられませんでした。この記録は北京(2008年)、ロンドン(2012年)の金メダル記録を超えるものでした。それなのに義足装着の優位による記録ではないかと言われ、国際陸上競技連盟から、リオ五輪に出場するには自費(最低でも約3,800万円)で科学データを集め、義足の効果を否定することを条件とされたのです。

■「ない」ことを証明するのは至難

ここまではすでに報じられたことですが、これを知った時、非常な違和感を覚えたものです。これが、「悪魔の証明」だったわけです。ここではレーム選手の五輪出場の是非について論じるつもりはありません。この証明法がどのように作用し、どう対処したらいいのか、レーム選手の件を通して考えてみたいと思います。というのも、この詭弁的な論法が意外と日常生活や仕事、資産設計などで通っているからです。それについては最後にまた触れます。

そこで、言葉の意味について簡単に説明しておきます。「ない」(存在しない、所有しない、行為しない)ことを証明することは、「ある」(存在する、所有する、行為する)ことを証明することに比べはるかに困難である、このことを「悪魔の証明」といいます。「ある」ことを証明するには、たった1つでも存在する証拠を見つければすみますが、「ない」ことを証明するためには、地球上はては宇宙くまなく探しまくってどこにも存在しない証拠をつかまなければならないからです(例えば宇宙人の存在)。そんなことができるのは悪魔(神?)だけです。   ■証明義務はどちらにあるか 話を戻すと、マルクス・レーム選手の記録が健常選手に届かないうちは、「義足なのによくやった」という感動と称賛の声がありました。両脚義足ランナー、オスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)がロンドン五輪で準決勝まで進んだのと同じ現象です。しかし、ひとたびこの義足のジャンパーが健常選手を抑えて優勝すると一転、器具を使って勝利したのは「ズルイ」と非難の声が上がったのです。「器具のドーピング」とさえ言われました。ドイツ陸連は、健常選手32人と障害者選手1人(レーム選手)の跳躍前と跳躍後のデータを比較して、義足が有利に働いたのではないかという疑問を抱いたわけです。しかし、それは正しい「証明」だったのでしょうか。データを比較するのであれば、少なくとも健常選手と同じ人数の障害者選手が必要だったはずです。

これを受けて国際陸連は、義足について優位性が「ない」ということを証明しなければ五輪の出場資格はないと通告したのですが、明らかに論理が逆です。五輪出場を拒否するなら、証明義務は通告した主催側にあり、義足が有利に働く効果が「ある」ことを立証しなければならないはずです。

■「悪魔の証明」を立証する義務はない
レーム選手はその後、研究チームの協力により自身を実験対象として詳細な科学データを積み重ねてきました。この様子は「NHKスペシャル ミラクルボディ」という番組で放送されました(7月20日)。そして、この結果に対する国際陸連の裁定は「有利とも不利ともいえない」、つまり義足の効果が「ない」という証明が不十分であるとし、五輪出場の資格はないとされたのです。

ここには明らかな矛盾があります。そもそも主催側が義足に優位性が「ある」と立証できなければ、選手側に優位性が「ない」ことを証明する義務はありません。そうでないと「悪魔の証明」に陥ってしまいます。レーム選手はこれ以上のデータは困難であるとし(当然ですが)、今大会の参加申請を1ヵ月前に辞退せざるを得なくなりました。ここでごたごたしていると、五輪どころかパラリンピックに出場することにも影響すると判断したのでしょう。結局、最終結論は次回の世界選手権、五輪へと持ち越される格好となりました。 ■まずは相手に証拠を出させよ
義足の優位性が「ない」ことを証明するのに、レーム選手はほかにどうすればよかったのでしょうか。本人自身が体力と能力を意図的に低下させ、実験データの記録を落とすしかないのではとさえ思えてきます。しかし、そんなことをしたら記録そのものが五輪出場の標準記録を突破できなくなり、元も子もなくなります。

あるいはまた、障害を持つあるあらゆる選手の身体にあらゆる器具を装着し、そのすべてについて健常選手に対して劣っていることを証明すればいいのでしょうか(「悪魔の証明」はそれを求めています)。しかし、たとえ99,999人の選手のデータが健常選手に劣っていたとしても、たった1人のデータが健常選手に優っていたら、それは義足の効果「あり」と裁定されてしまうでしょう。それが器具によるものではなく、レーム選手自身の身体能力の卓抜性ゆえであったとしても。

じつは、「ない」ことを証明するにはたった1つ、「ある」ことの証拠を反証すれば足ります。まずは、疑義を呈した側(訴訟であれば原告側)に具体的で明確な証拠を提示させ、それに対して疑義を呈された側(被告側)は、原告側の証拠が不十分であると論破しさえすればいいのです。そうでなければ、被告側は常に「悪魔の証明」につきまとわれることになります。つまり、提出された科学データが「どちらが有利かは言えない」という国際陸連側の結論を引き出した時点で、レーム選手側の「勝訴」だったのです。 ■理不尽な論理で権利を失うな
このように、論理の筋が違うのに自分の大切な権利が失われてしまうことが、世間にはけっこうあるものです。例えば、金融商品の販売についても言えます。金融機関などの販売業者から投資リスクについての説明を受けずにリスク商品を購入し、その後大きな損失を被っても、以前は損害賠償の訴訟で勝つのは困難でした。販売者側からリスク説明が「なかった」ことを投資者が自分で立証しなければならなかったのです。いくらリスク説明が「なかった」と投資者が言っても、相手側が説明は「あった」と言えば済んでしまいます。説明が「なかった」という証拠を見つけろと言われても至難だからです。法改正後、説明が「あった」ことを立証する責任が販売者側に移りましたが、本来、証明義務のない投資者に立証責任を負わせること自体が間違っているのです。

訴訟に至らないまでも、義務がないのに証拠を求められ、自分の正当の権利を失うことがよくあります。「やってないなら、やってないという証拠を見せろ」と言われたら、何の手立てもないのか。そういう時に「ない(NO)」ことを主張するならば、先に相手側に「ある」ことの証拠を出させ、その1つ1つを突き崩していくしかありません。決して「悪魔の証明」に付き合う必要はないのです。   シェアーズカフェ・オンライン   2016年08月22日

難聴者に福音、聞きやすい「ミライスピーカー」

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サウンドファン、蓄音機をヒントに音波の常識を覆す

従来のスピーカーの常識とは違う構造を考案し、難聴者が聞き取りやすい「ミライスピーカー」を開発。今年4月施行の障害者差別解消法が販売を後押しし、銀行などで導入が進んでいる。

 都内在住の角田一郎さん(93歳)は老人性難聴を患っている。自室でテレビを見るのが趣味だが、隣室まで聞こえるほどの大音量でなければ楽しむことができない。

 1年前、知人から譲り受けた「ミライスピーカー」を使い始めたところ、テレビの音がクリアに聞こえるようになった。「特に人の声が聞き取りやすい。歌番組やニュースが楽しみになった」。音量の数値は以前の3分の2ほどに下がり、同居する長男の良平さんも「近所への気まずさがなくなった」と喜ぶ。

 今年3月、りそな銀行東京中央支店(東京都中央区)にも、待合客の呼び出し用にミライスピーカーが導入された。家庭用と同じ小型のスピーカー1台で「店内どこにいても音がはっきり聞こえる。それでいて、近くで聞いていても不思議とうるさくない」(担当者)。

障害者差別解消法が契機に

 ミライスピーカー導入の背景にあるのは、今年4月施行の障害者差別解消法だ。同法は公共機関や民間企業に対し、障害を理由にした不当な差別を禁止し、障害者への配慮を求めている。

 りそな銀は他店にも試験的にミライスピーカーを導入することを検討中。広島銀行など他行も相次いで試験導入を決めたほか、CD販売大手のタワーレコード(東京都渋谷区)も試聴機を設置している。

日経ビジネスオンライン

点字ブロック上に柵、転倒=視覚障害の男性重傷-兵庫

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 兵庫県姫路市の山陽電鉄西飾磨駅で7月、視覚障害のある50代男性が点字ブロック上に置かれた工事用フェンスにつえを引っ掛けて転倒し、太ももの骨を折る重傷を負っていたことが、22日までに分かった。
 同社によると、事故は7月2日午前7時15分ごろ、3階にあるホームから地上へ下りる階段が合流する2階部分で発生。男性は、点字ブロックをふさぐように置かれた工事用フェンスにつえを引っ掛け、抜こうとした際にバランスを崩したと話しているという。フェンスは壁の補修工事のため設置されていた。
 同社は男性に謝罪。「視覚障害者の安全を確保し、再発防止に努める」とコメントした。

(2016/08/22-11:46)  時事通信

活躍期待し選手激励 知事が練習視察、競技体験も

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 第16回全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」に向け、達増拓也知事は21日、フライングディスク競技とバレーボール競技(知的)の選手団の強化練習を視察した。知事自らも練習に参加し、大会での活躍を期待して選手を激励した。

 併催される岩手国体の選手団視察はこれまでも行ってきたが、障害者スポーツ大会の視察は今回が初めて。7月に相模原市で発生した障害者19人が刺殺される事件を受け、障害者を励ましたいという知事も思いもあって行われた。

 達増知事は練習会場となる盛岡市三本柳のふれあいランド岩手を訪問。フライングディスクの出場選手、バレーボールの候補選手と指導者を前に「強化練習は一緒に練習することで交流を深める大事な機会で、皆さんもしっかり練習を重ねながら大会を成功させるように頑張っていこう。大会を通じて県民、全国の人たちがみんなで障害のある人もない人も共に生きる共生社会をつくっていこうという気持ちを盛り上げる大会にしたい」と激励した。

 これに対してフライングディスクの民部田奏さんが「メダルを目指して頑張りたい」と決意を述べた。

 達増知事は両競技の練習にも参加。バレーボールではランニングやウオーミングアップをこなし「なかなかハード」と息を切らした。フライングディスクでは直径約1メートルの円形ゴールを狙うアキュラシーを体験して「入れるのが難しい」と苦笑しながらも、うまくゴールを決めた選手に拍手を送っていた。

 障害者スポーツ大会に向け、県選手団は週1回程度強化練習を行っており、9月17日には結団式を予定している。

大会での活躍に向けて記念撮影で気勢を上げる達増知事とフライングディスク競技の選手団

(8/22)   岩手日日新聞

「農福連携」静かな広がり 平塚・障害者施設の工房が好調

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 社会福祉法人進和学園(平塚市万田)が運営する農産物加工場「しんわルネッサンス湘南工房」(同市上吉沢)が好調だ。自前ブランド製品の販路を百貨店や高速道路のサービスエリア(SA)などへ拡大する一方、個別の農家から相手先ブランドによる生産(OEM)を受託するケースが大幅に増えた。障害者の働く場を広げ、地域の農業を活性化する「農福(農業・福祉)連携」が静かな広がりを見せている。

 湘南工房は、6次産業化・地産地消法に基づく農林水産省による認定事業として2014年5月にスタート。社会福祉法人によるものは県内初で、障害者17人、スタッフ6人が平日はほぼフルタイムで働く。主な製品はトマトジュースやトマトピューレのほか、ブルーベリーやニンジンのジャム、みかんジュースだ。

 事業は県内各団体のネットワークで6次産業化に取り組んでいるのが特徴で、NPO法人「湘南スタイル」(茅ケ崎市)がデザインや販売促進、営業を担い、進和学園は主に近隣の農協から原料を購入し、加工品を農協の大型直売所などに販売委託している。県や市も技術支援や情報提供を担っている。

 今年は横浜の百貨店にトマトとミカンのジュースをお中元セットとして納入。東名高速道路海老名SAでは、納入したピューレから作るトマトラーメンが人気で、今年7月は前年比で4倍近い納品となった。

 最も増えたのは、県内外の農家や農業生産法人などがOEMとして原料のトマトを持ち込む受託加工。昨年は5軒だったのが、今年は30軒近くに達し、全体の売り上げの3割を占めるまでになった。湘南工房ブランドのトマトジュースは加工前にじっくり熟成させてうま味を引き出し、塩も水も一切使わない無添加が魅力だが、OEMでは農家それぞれのフルーツ味や糖度など特徴が出るという。

 工房の売り上げは15年度が年間1200万円だったが、16年度は3400万円が目標。しんわルネッサンスの瀬戸利彦所長は「まだ赤字だが、なんとか来年には黒字化したい。農福連携で生産者、消費者、加工事業者がウィンウィンの関係になるようにしていきたい」と意気込んでいる。

「農福連携」静かな広がり 平塚・障害者施設の工房が好調 

3本(1本180ミリリットル)1000円で販売されているしんわルネッサンスのトマトジュース

2016年08月21日     カナロコ by 神奈川新聞

ともに暮らす社会へ 障害者施設ルポ

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 相模原市の障害者施設で入所者19人が死亡した事件から、まもなく1カ月になります。事件からは、障害者への無理解が浮き彫りになりました。ともに暮らす社会を考えるため、障害者を取りまく状況を3回にわたりお伝えします。まず、事件が起きた現場と同規模の施設を訪ねてみました。

■139人、139色の個性

 広島県東広島市の県立施設「松陽寮」には139人が入所し、障害の程度や特性によって四つの「ファミリー」に分かれて暮らす。

 午前8時半。朝礼で記者が紹介されると、特に重度の37人が入るファミリーの責任者、深谷成治さん(58)から「ぜひ、うちの取り組みを見て」と声をかけられた。

 深谷さんが担当するファミリーは施設改修のため、昨年7月からプレハブに入居する。この日は月に数回の外出日。午前10時半、深谷さんは正木祐治さん(55)ら3人と一緒に車で約3分のファミリーレストランに向かった。

 同じ席についた正木さんに笑いかけたら、返ってきたのは「べーーっ」。「これがあいさつなんです」と深谷さん。メニューを指して「これがいい? それともこれ?」と聞かれると、正木さんは全部うなずく。

 職員が注文したフライドポテトは、正木さんの大好物。ポテトとアイスクリームをほおばり、顔をくしゃくしゃにして笑顔になった。ほおばりすぎて口元を汚すと、職員は顔をほころばせて拭く。思わずこちらも笑顔がこぼれる。

 正木さんは松陽寮で暮らして約20年になる。てんかんがあり、突然意識を失って倒れることもあるが、この笑顔で職員の人気者だ。

 ログイン前の続き午後には、プレハブから500メートルほど離れた2階建ての住宅を訪ねた。もとは職員宿舎で、日中のレクリエーションに使われる。10畳のリビングで、長身の男性(41)がごろりと横になっていた。「こんなリラックスしているの珍しいね」と職員がつぶやく。

 だが、長身男性はプレハブに戻ると、低いうなり声を上げて別の男性に近づいた。「危ない」。深谷さんが、2人の間に体を入れた。「いま頭突きを狙っていた。気が抜けません」。長身男性には行動障害がある。時折、頭突きをするため、額には1センチ角の擦り傷がある。

 午後6時ごろに夕食が終わると、入所者は続々と寝室に入る。4、5人の相部屋で、すぐに寝息をたてる人も。夜勤は男女1人ずつが担う。

 午後7時ごろ、人気がなくなった食堂に長身男性がぽつんと座り、夜勤の岡田広司さん(52)を見つめていた。ふと、流し台のコップを指さす。岡田さんは「お茶ですか」。2、3秒の沈黙。そこで岡田さんはお茶を出した。

 「どんどん飲んでしまうので、無制限にはあげない」。飲み干すと、長身男性の表情が緩んだように見えた。

 岡田さんは松陽寮で働いて通算10年目。相模原事件の容疑者が施設の元職員だとは、信じられなかったという。「人が相手の仕事なので、ストレスもある」と漏らすが、入所者には親しみを感じている。「こんなおもしろい仕事、ないです」

 午後10時、岡田さんは食堂や廊下を消灯した。見回りは2時間おき。正木さんに顔を近づけて寝息を確かめ、小声で「布団の水やり、やめてくださいね」と話しかけた。正木さんは何かしゃべっている。岡田さんは「寝言なんでしょうね」とほほえんだ。トイレに起き出す人の付き添いもあり、岡田さんは一睡もできなかった。

 午前5時すぎ、食堂のあかりがついた。広島カープ帽の男性(55)がケージのウサギをなで、「うさちゃん」と呼んだ。この男性は一時、情緒不安定だったが、3年前にウサギの飼育を始めてから向精神薬を使わなくなったという。

 朝食後の午前9時すぎ、「ごつん」という大きな音が食堂に響いた。カープ帽の男性が自閉症の男性(34)に突き飛ばされ、額を打った。幸いけがはなかった。精神科医の岩崎学所長が自閉症の男性を診察。落ち着くまで個室にとどめ、薬を出すことにした。

 この自閉症の男性は、記者が最初に建物を訪ねた時も歩き回っていた。食堂を抜けて廊下を一周。記者に近づいて「うーーっ」と大声を上げ、歩く勢いは緩めない。深谷さんは「進路をふさがれると、押しのけることがある」と説明していた。こうした行動障害は、環境の変化も影響するという。

 岩崎所長は「本人は歩くことで落ち着く。閉じ込めることはストレスになってしまう。一番いいのは本人に適した環境整備。一人ひとりが何かに打ち込めるようにしたい」と話す。プレハブの壁には、こんな言葉が掲げられていた。

 「わたしたちは一人ひとりが大切な人間であり、ありのままを認め、大切にしてもらえます」(井上充昌)

■障害者施設とは

 松陽寮は事件現場の施設と同様、障害者総合支援法に基づき障害者の入浴や排泄(はいせつ)、食事の介助などを行う。厚生労働省によると、こうした施設は全国に約2600あり、約13万人が利用する。

 1960~80年代には、国や自治体による大規模な入所施設「コロニー」が各地につくられた。親亡き後の知的障害者の生活の場を求める声の高まりが背景にある。

 だが、81年の国際障害者年を機に、地域社会から隔離することへの批判や、障害者とそうでない人がともに暮らすノーマライゼーションの考え方が広がる。政府は95年に障害者プランをまとめ、97年に入所施設の整備について「地域の実情に応じて真に必要と認められるもの」と限定。地域生活への移行を進めている。第4期障害福祉計画では、13年度末から4年間で施設の入所者を4%以上減らす方針だ。

 一方、障害者の親の高齢化などで、施設入所へのニーズはなお多い。入所待機者が1千人を超える県もある。 

2016年8月22日   朝日新聞

ともに暮らす社会へ 障害者施設ルポ

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 相模原市の障害者施設で入所者19人が死亡した事件から、まもなく1カ月になります。事件からは、障害者への無理解が浮き彫りになりました。ともに暮らす社会を考えるため、障害者を取りまく状況を3回にわたりお伝えします。まず、事件が起きた現場と同規模の施設を訪ねてみました。

■139人、139色の個性

 広島県東広島市の県立施設「松陽寮」には139人が入所し、障害の程度や特性によって四つの「ファミリー」に分かれて暮らす。

 午前8時半。朝礼で記者が紹介されると、特に重度の37人が入るファミリーの責任者、深谷成治さん(58)から「ぜひ、うちの取り組みを見て」と声をかけられた。

 深谷さんが担当するファミリーは施設改修のため、昨年7月からプレハブに入居する。この日は月に数回の外出日。午前10時半、深谷さんは正木祐治さん(55)ら3人と一緒に車で約3分のファミリーレストランに向かった。

 同じ席についた正木さんに笑いかけたら、返ってきたのは「べーーっ」。「これがあいさつなんです」と深谷さん。メニューを指して「これがいい? それともこれ?」と聞かれると、正木さんは全部うなずく。

 職員が注文したフライドポテトは、正木さんの大好物。ポテトとアイスクリームをほおばり、顔をくしゃくしゃにして笑顔になった。ほおばりすぎて口元を汚すと、職員は顔をほころばせて拭く。思わずこちらも笑顔がこぼれる。

 正木さんは松陽寮で暮らして約20年になる。てんかんがあり、突然意識を失って倒れることもあるが、この笑顔で職員の人気者だ。

 ログイン前の続き午後には、プレハブから500メートルほど離れた2階建ての住宅を訪ねた。もとは職員宿舎で、日中のレクリエーションに使われる。10畳のリビングで、長身の男性(41)がごろりと横になっていた。「こんなリラックスしているの珍しいね」と職員がつぶやく。

 だが、長身男性はプレハブに戻ると、低いうなり声を上げて別の男性に近づいた。「危ない」。深谷さんが、2人の間に体を入れた。「いま頭突きを狙っていた。気が抜けません」。長身男性には行動障害がある。時折、頭突きをするため、額には1センチ角の擦り傷がある。

 午後6時ごろに夕食が終わると、入所者は続々と寝室に入る。4、5人の相部屋で、すぐに寝息をたてる人も。夜勤は男女1人ずつが担う。

 午後7時ごろ、人気がなくなった食堂に長身男性がぽつんと座り、夜勤の岡田広司さん(52)を見つめていた。ふと、流し台のコップを指さす。岡田さんは「お茶ですか」。2、3秒の沈黙。そこで岡田さんはお茶を出した。

 「どんどん飲んでしまうので、無制限にはあげない」。飲み干すと、長身男性の表情が緩んだように見えた。

 岡田さんは松陽寮で働いて通算10年目。相模原事件の容疑者が施設の元職員だとは、信じられなかったという。「人が相手の仕事なので、ストレスもある」と漏らすが、入所者には親しみを感じている。「こんなおもしろい仕事、ないです」

 午後10時、岡田さんは食堂や廊下を消灯した。見回りは2時間おき。正木さんに顔を近づけて寝息を確かめ、小声で「布団の水やり、やめてくださいね」と話しかけた。正木さんは何かしゃべっている。岡田さんは「寝言なんでしょうね」とほほえんだ。トイレに起き出す人の付き添いもあり、岡田さんは一睡もできなかった。

 午前5時すぎ、食堂のあかりがついた。広島カープ帽の男性(55)がケージのウサギをなで、「うさちゃん」と呼んだ。この男性は一時、情緒不安定だったが、3年前にウサギの飼育を始めてから向精神薬を使わなくなったという。

 朝食後の午前9時すぎ、「ごつん」という大きな音が食堂に響いた。カープ帽の男性が自閉症の男性(34)に突き飛ばされ、額を打った。幸いけがはなかった。精神科医の岩崎学所長が自閉症の男性を診察。落ち着くまで個室にとどめ、薬を出すことにした。

 この自閉症の男性は、記者が最初に建物を訪ねた時も歩き回っていた。食堂を抜けて廊下を一周。記者に近づいて「うーーっ」と大声を上げ、歩く勢いは緩めない。深谷さんは「進路をふさがれると、押しのけることがある」と説明していた。こうした行動障害は、環境の変化も影響するという。

 岩崎所長は「本人は歩くことで落ち着く。閉じ込めることはストレスになってしまう。一番いいのは本人に適した環境整備。一人ひとりが何かに打ち込めるようにしたい」と話す。プレハブの壁には、こんな言葉が掲げられていた。

 「わたしたちは一人ひとりが大切な人間であり、ありのままを認め、大切にしてもらえます」(井上充昌)

■障害者施設とは

 松陽寮は事件現場の施設と同様、障害者総合支援法に基づき障害者の入浴や排泄(はいせつ)、食事の介助などを行う。厚生労働省によると、こうした施設は全国に約2600あり、約13万人が利用する。

 1960~80年代には、国や自治体による大規模な入所施設「コロニー」が各地につくられた。親亡き後の知的障害者の生活の場を求める声の高まりが背景にある。

 だが、81年の国際障害者年を機に、地域社会から隔離することへの批判や、障害者とそうでない人がともに暮らすノーマライゼーションの考え方が広がる。政府は95年に障害者プランをまとめ、97年に入所施設の整備について「地域の実情に応じて真に必要と認められるもの」と限定。地域生活への移行を進めている。第4期障害福祉計画では、13年度末から4年間で施設の入所者を4%以上減らす方針だ。

 一方、障害者の親の高齢化などで、施設入所へのニーズはなお多い。入所待機者が1千人を超える県もある。 

2016年8月22日   朝日新聞


聴覚障害者の知人男性を車で連れ回し暴行…

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ラインゲームで知り合い、聴覚障害者の男3人逮捕 大阪府警

 知人男性を車で連れ回して暴行を加え、金品を奪ったとして、大阪府警曽根崎署は22日、営利目的略取と監禁、強盗致傷の疑いで、大阪府寝屋川市松屋町の無職、星谷樹弥(みきや)容疑者(22)ら3人を逮捕した。

 いずれも容疑を認めており、ほかに関与した19~40歳の男8人からも事情を聴いている。被害者と容疑者側のグループはインターネットのオンラインゲームで知り合った遊び仲間で、全員が聴覚障害者という。

 逮捕容疑は、20日夜~21日朝、大阪市中央区の路上で、滋賀県近江八幡市の知人男性(22)をワゴン車に乗せて連れ回し、鉄パイプで殴って暴行を加え全治2週間のけがをさせたうえで、現金約2万円や預金通帳、障害者手帳を奪ったなどとしている。

 同署によると、負傷した男性と星谷容疑者らは金銭の貸し借りをめぐりトラブルになっていた。無料通信アプリ「LINE(ライン)」や携帯電話の手話のチャット機能などを使って男性を呼び出し、無理やり車に押し込んだという。

全て あるがままに

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 相模原市の障害者施設での殺傷事件から約一カ月がたとうとしています。事件後には、東京都知事選やオリンピック、高校野球に世間の関心は移ってしまいました。どんな事件でも風化するのは仕方ないことだし、いつまでも覚えていろという方が難しいでしょう。でも、人類の未来が良い方向に進むためには、この理不尽な暴力の歴史が、こんなに早く風化することに疑問を感じます。障害者にとっては戦争と同じく、理不尽な暴力で命を奪われ、傷ついた事件でした。

 「障害者は不幸な人間」「障害者は税金の無駄遣い」と言い、犯人は十九人の命を奪いました。年間一人当たり約三百万円かかるという刑務所か、精神科病棟に監禁されるのでしょう。

 私は死刑制度に疑問を感じ、野蛮な行為だと思っていますが、犯人は自らの判断で十九人の尊い命を奪う野蛮な行為をしたわけです。心がざわざわします。

 尊い命が「被害者A」のように匿名になり、この事件が終わることに疑問を感じます。匿名だと、尊い命を一般の人たちが理解できるか分からないからです。

 私が知っていることは、障害者は決して生きているだけで不幸な存在ではありません。誰もが皆、平等な命で、世界には約六十億の違う人間の脳があり、全て必要だと思います。そうだとすると、犯罪者も戦争を起こす人も必要ということになってしまいますが、これも時代という名の竜の背中に乗って、人類が進化する過程で必要だったと思わなければならないと思います。第二次世界大戦の教訓を学べば、犯人は決してヒトラーでなくても、東条英機でなくても現れたと思います。

 理不尽な暴力を繰り返さないために必要なことは、六十億通りの脳がそれぞれ、「人間が必要だ」と思うことです。愛を持って人を見れば、殺していい人間なんて一人もいません。平和への道を進んで行ってほしいです。障害者はこれからも生まれてくるし、明日自分がなるかもしれません。誰もが安心して幸せになれる世界を想像して、全てをあるがままに受け入れてみようと思います。 

外出し、動物との触れ合いを幸せそうに楽しむ障害者

(NPO法人かもめのノート理事長・富野正宏)

2016年8月22日   中日新聞

 

難病女性がダイビング 指先しか動かずとも「夢かなう」

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 首と指先だけしか動かせない進行性の希少難病の女性が、スキューバダイビングのライセンスを取った。京都府宇治市の中岡亜希さん(39)。「障害者が一歩を踏み出す勇気を持ち、それをサポートしてくれる人と出会えれば、夢はかなう」。自身の体験を発信し、障害者の挑戦を後押ししたいと思っている。

 静岡県伊豆半島伊東市。この7月、中岡さんが最後の講習を終え、ひょっこりと水面に顔を出した。「すごく楽しかった。私、本当に潜れたんですね」。3日間の講習でダイバーになった中岡さんを、スタッフが拍手で祝福した。

 中岡さんは航空会社の客室乗務員だった25歳の時、全身の筋肉が少しずつ衰える進行性の希少難病「遠位型ミオパチー」と診断され、3年後に車いす生活になった。今は話したり食べたりはできるが、首と指先をわずかに動かせるだけで、大半を自宅のベッドの上で過ごしている。

 病気になった直後は、日常生活が不自由になり、落ち込んだ。知り合いの子どもたちからキャンプに誘われても、「迷惑をかける」と前向きになれなかった。しかし「亜希ちゃんは僕たちと一緒に遊びたくないの」と問われ、はっとした。「本当は遊びたい。できないと決めつけずに、挑戦して人生を楽しみたい」という思いがあふれ出た。

 頭に浮かんだのはスキューバダイビング。空の世界に魅了されて客室乗務員になったように、未知の海中にずっと憧れていた。インターネットで、障害者ダイビングの認定団体が伊東市で講習をしていることを知り、連絡。知人の運転で現地に向かった。

 講習をしたのは、認定団体「HSA JAPAN」(東京都渋谷区)のインストラクター、太田樹男(みきお)さん(50)。これまでに約670人の障害者にライセンスを発行してきた。

 HSAは、認定基準を障害者の身体能力の違いによって分けている。できる範囲で技術を習得してもらい、それ以外はサポートして補う。そのため、ライセンスを出す基準は、個人によって千差万別だ。

 中岡さんは、これまでの受講者の中でも最も障害が重く、大部分をサポートしてもらった。海に入るときは水陸両用の車いすで腰くらいの深さまで入り、深い場所まで連れて行ってもらい潜った。タンクもサポーターに背負ってもらった。

 それでも、潜行中に鼓膜にかかる水圧を、中から押し出す「耳抜き」や、水中でのゆっくりとした呼吸法、浮上中に息を止めないことなど、自分にできる技術は、納得がいくまで何度も練習を繰り返した。

 指導した太田さんは「大事なのは本人の気持ち。中岡さんの意気込みは今まで認定してきた中でもダントツで、海の世界を楽しみたいという強い気持ちが伝わったきた」と振り返る。

 ダイバーになった中岡さんは「陸上ではあんなに重い体が、水中では無重力で夢のようだった。大自然には障害者割引がない代わりに、勇気があれば、誰でも平等に受け入れてくれる懐があるんだと思った」と目を輝かせた。

 中岡さんには、さらに大きな夢がある。自分の体験を発信して、障害者とサポートしてくれる人たちをつなげる存在になることだ。

 「お互いに理解を深められたら、今まで諦めてきた障害者とその家族、サポートの方法が分からなかった人たちも、一歩を踏み出せるようになると思う」

 〈スキューバダイビング〉 空気(酸素21%、窒素79%)を圧縮してタンクにつめ、それを呼吸しながら海中に潜る。水中マスク、足ヒレ、タンクの空気をホースで口まで送る装置、ベスト型の浮力調整装置など、器材一式の重さはタンクを入れて約30~40キロ。一般的な潜水可能水深は約30メートル。タンク1本で潜れる時間は水深、タンクの大きさ、ダイバーの呼吸量によって違うが、平均で40分ほど。

写真・図版

サポートダイバーと共に海中散歩を楽しむ中岡亜希さん(中央)

2016年8月23日   朝日新聞

急がれるユニバーサルデザイン・タクシーの普及

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先ごろユニバーサルデザイン(UD)タクシーに初めて乗った。広い車内にはスロープも収納され、これならタクシー利用が難しい車椅子使用者らも十分、利用可能と理解した。 人口高齢化が進む中、高齢者や障害者の“足”を確保し、社会参加の機会を増やすためにもタクシーのUD化は急ぐ必要がある。    現在、国内で営業運転されるタクシーは法人、個人を合わせ約24万台。国は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までにUDタクシーを含めた福祉タクシーを1割強の2万8000台まで増やす方針を決め、新規購入する事業者に対する補助金制度をスタートさせているが、一方で人口減少が続く地方、とりわけ中山間地では採算が取れないまま撤退するタクシー業者も増え、高齢者や障害者が足を失う結果にもなっている。

 UD化によって新しいタクシー利用客が増え、タクシー業界の経営基盤が強化されるのが望ましいが、UD車は従来のセダン型タクシーに比べ価格が100万円ほど高く、全国ハイヤー・タクシー連合会などによると、タクシーの新車切り替えは「走行距離50万㌔㍍、10年間使用」を目途としており、直ちにUD化に踏み切れない事情もあるようだ。

いずれにしてもUD化を促進するには、UDタクシーに対する一般客の需要を高めるのが先決。幸い料金は一般のタクシーと同一で、従来のセダン型と違い、ワゴンタイプの車内は天井も高く、乗り降りの際にドアの開閉に合わせて動くステップも含め、誰にとっても使い勝手はいい。シートも自由に移動でき、中にゆとりがある分、ベビーカー使用の親子連れや妊娠中の女性などにも便利で、大きな荷物を持った外国人観光客にも歓迎されよう。こうしたUDタクシーの利点が広く認識されれば、利用者のニーズも自ずと高まり、UD化の促進に弾みがつくはずだ。

しかし現状は、多くの利用者に「UD車は障害者、高齢者向け」といった誤解、勘違いがあり、UD車の利点が認識されているとは、とても言えない。全国で営業運転されているUDタクシーは昨年3月末現在、690台と少なく、UD車の存在そのものが知られていないのが一因で、今後、「誰もが便利に利用できるUD車」をどこまで広げていくかタクシー業界の課題となる。

法人、個人合わせ4万5000台のタクシーが走る東京都は今年1月、五輪開催時までに、うち1万台のUD化を目指し、新規購入事業者に1台当たり60万円を補助する新制度を発足させた。

鳥取県では、同県と共同して日本一のボランティア先進県づくりに取り組む日本財団が3年間で200台のUDタクシーを鳥取県内に配備することに決め、第一弾の14台が先ごろ鳥取市内で営業を開始した。筆者が乗車体験をしたのは、このうちの1台で、配備が一段落する3年後には、鳥取県内を走るタクシー約800台の4分の1がUDタクシーとなり、「鳥取モデル」として注目されている。

2006年にはバリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)も施行されており、こうした動きを追い風にUD化を加速すれば、タクシー業界の新しい姿が見えてくる可能性もある。関係者によると、UD車は現在、日産車が中心だが、トヨタなど他メーカーも開発を急ぎ、今後のタクシー車両はUD仕様が基本といった事情もある。

しかし業界関係者によると、それでも国内のタクシーのUD化が完了するのは10年以上先になるという。売り上げが低迷する中、仮に公的補助があったとしても、UD車への切り替えには1台当たり200万円以上の投資が必要で、「50万㌔、10年」に満たない車をUD車に切り替えるのは、それほど簡単ではない、というのだ。

タクシー業界は高度成長期、近距離客の乗車拒否などが問題となった。以後、さまざまな改善策がとられたが、経営環境は厳しさを増している。UD化は、業界の体質を改善する一つの好機と思う。高齢化社会の中の新しい「国民の足」として、社会の中での立ち位置が変わる可能性さえある。

英国ロンドンでは既に「タクシーと言えばUDタクシーが当たり前」の状態になっており、UD化は世界の趨勢でもある。そのためにも、まずは「UD車は高齢者・障害者の優先車」といった誤解を解く必要がある。   鳥取市に配備されたUDタクシー、車椅子用のスロープなど多彩な機能が備えられている   2016年08月22日    BLOGOS

県が手話・要約筆記の講習会に補助 県内自治体で初

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 県は今月から、聴覚障害者に優しい環境を整えるため、手話講習会と、会話などの内容を文字にして伝える「要約筆記」の講習会に補助する事業を始めた。県内の自治体では初めて。県内の聴覚障害者からは手話通訳者や要約筆記者の不足を懸念する声もあり、期待が高まっている。

 県内で身体障害者手帳を持つ十八歳以上の聴覚障害者は昨年三月現在で約六千百人。ただ、県に本年度登録している手話通訳者(国の資格である手話通訳士を含む)は百四人、要約筆記者は六十六人にとどまっている。

 耳が不自由な県聴覚障害者連盟(前橋市)の吉原孝治事務局長は「手話通訳者や要約筆記者のうち、実際に平日の日中に活動できるのは登録者の三割程度。通訳者や筆記者には地域的な偏りがあり、若い人も少ない」と指摘。その上で「いい機会なので、これをきっかけに通訳者や筆記者の増加につながり、障害者がもっと活用できるようになってほしい」と求めている。

 補助の対象事業者は企業、社会福祉法人、NPO法人など。ほかに、手話や要約筆記を学ぶ場を提供していれば、町内会、PTAなど法人格のない団体も対象となる。講習会は手話通訳や要約筆記のボランティアを養成する内容でも可能だ。

 補助するのは、講習会の講師に対する報償費や交通費。一回当たり一万七千円、一団体につき年三回をいずれも上限に支給する。県は本年度、講習会三十回程度に当たる計約五十万円の予算を用意している。

 県は昨年四月、県手話言語条例を施行。今回の事業は条例に基づく県手話施策実施計画案の一環に位置付けており、来年度以降も継続を検討している。

 県障害政策課は「高齢化が進む中、中高年層もいる手話通訳者や要約筆記者が将来的に不足する懸念がある。条例の施行をきっかけに、県内に手話や要約筆記を広めたい」と話している。問い合わせは同課=電027(226)2638=へ。 

2016年8月23日   東京新聞

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