耳が不自由な人への理解を深める「手話言語条例」について、福岡県川崎町の手嶋秀昭町長は20日、田川聴覚障害者協会と支援の健常者団体「田川手話の会」の代表に「必要性は十分認識している」と述べ、来年4月30日までの任期中の制定を表明した。両会は田川市郡で条例未制定の残り7市町村にも要望活動を計画しており、条例が広がる契機になると歓迎している。
協会の久冨寿(ひさし)会長(51)らが町役場を訪れ、条例制定を求めてまとめた草案を提出。手嶋町長は「検討する」とした昨年の議会答弁を踏まえて応えた。内容と時期については、「財政事情をにらみ、意見交換したい。詰めるところがあるので、9月議会に条例案提出が間に合うか分からない」と述べた。草案は前文で「手話が日本語と同様に話せる環境を整備することでコミュニケーション障害を除去し、支え合う地域社会を実現する」と条例の目的を明記。第1~11条で手話の尊重・普及▽事業者による「働きやすい環境の整備」▽町の財政措置--などを定めた。
手話言語条例は2013年に鳥取県が全国で初めて制定した。両会によると、5月10日現在で179自治体に広がったが、県内では直方、朝倉市にとどまっている。手嶋町長を前に、町在住で協会の事務局を務める村上ちどりさん(68)らが「(自治会などの)集まりでは筆談ができず、参加しなくなる実態がある」「災害が起きても聞こえないので逃げられず、安心して眠れない」などと手話通訳者を介して訴えた。
毎日新聞 2018年6月21日