「なばな」で取得見通し 三国シェフの店で提供
安全な農産物生産や環境保全などに取り組む農場に与えられる国際的な品質認証「グローバルGAP」の本審査が17日、「シグマファームとういん」(東員町)で行われた。障害者が働くこのファームで生産する「なばな」が対象で、障害者就労施設のグローバルGAP審査は県内初。なばなは来年3月頃から、三国清三(きよみ)さんがオーナーシェフを務めるレストラン「オテル・ドゥ・ミクニ」(東京)で提供されるという。
県は2020年の東京五輪・パラリンピックで県産農林水産品の販売拡大を目指している。東京大会の食材調達基準ではGAP認証取得が条件。障害者就労施設の農産物が推奨され、県内施設でのGAP認証取得の拡大に取り組んでいる。
シグマファームとういんは「農福連携」などを掲げ、2015年4月に設立。耕作放棄地を活用し、なばな、サツマイモ、タマネギ、ニンジンなどを露地栽培している。障害者13人、管理社員5人が働く。なばなの栽培面積は県内の障害者就労施設で最大という。今年7月から基礎解説セミナーに参加して認証制度について学び、模擬審査を受けるなどして準備を進めてきた。
審査はSGSジャパン(横浜市)が実施。同社の角谷桜子さんら2人の審査員が、農場で農薬、肥料の保管状況、農機具の管理が適正に行われているかなどを確認。町役場の会議室では生産工程、管理状況を記録した文書をチェックした。ファーム側からは主に農場長の小野寺仁さん(54)、運営管理者の大西順子さん(38)が聞き取り調査に答えた。
生産工程の全般に及び、200項目を超える審査で、不適合は4項目だけ。是正を済ませて順調に進めば、来年2月には認証を取得できる見通しだという。ファームを運営するシグマサポート(東京)の和田隆大取締役(38)は「取り組んできた安全管理が100%できているか確認し、さらに意識を高めるため挑戦した。東京五輪へ食材提供ができれば、働く人のやりがいに結びつく」と話した。
オテル・ドゥ・ミクニでは来年3月頃から、今回のなばなを始め、県内のGAP認証取得食材などを活用した三重県フェアを約1か月間、開催する予定だという。
◆GAP(Good Agricultural Practice=農業生産工程管理の略) 食品安全、環境保全、労働安全などの基準を満たした生産者に与えられる認証制度。国際基準の「グローバルGAP」や日本独自の「JGAP」などがある。
農薬や肥料の保管状況、農機具の管理について本審査を受ける小野寺農場長(左端)や大西さん(右端)
2018年12月19日 読売新聞