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Channel: ゴエモンのつぶやき
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障害者自立 新しいカタチに 工場内に就労支援事業所

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 精密部品加工を手掛けるアスク(大阪府枚方市)が7月、自社工場内で障害者の就労支援継続事業所「NPO法人夢桜ホーム」をスタートする。自社開発の電線剥離機を使って障害者福祉施設や作業所と協力して進めてきた障害者の工賃向上に向けた取り組みを自社内で展開する。長倉貞夫オーナーは「障害者が自立を目指す『働く施設』の新しいカタチを築きたい」と話す。

 「夢桜ホーム」で障害者らは、大阪府電気工事工業組合(西野正則理事長)などの協力で寄せられた廃電線を同社開発の電線剥離機「電線マン」を使い剥離、銅の再資源化と野菜などの水耕栽培の2事業に取り組む。

 作業は工場内の遊休スペースを利用。社員が廃電線の太さや種類の仕分け、電線剥離の技術指導にあたるなど、同社の人的物的資源をフル活用する方針で「自社の下請けモノづくりビジネス一辺倒からの脱皮も狙いの一つ」と話す。

 7月の開設当初には3〜6人を受け入れ、「3年後には15〜20人程度まで規模を拡大できれば」という。

 府内の福祉施設などで働く障害者に支払われる工賃は9761円(2011年度)で全国最低水準。自立した生活を実現するには程遠いのが現状だ。

 同社は、府内複数の障害者作業所に電線剥離作業を提案し、袋詰めなどの軽作業に取り組んでいた作業所の工賃アップを実現してきた。府内で現在、電線剥離作業を採り入れる施設は12に上る。口コミで関心は広まり、宮城、福島、群馬、愛知など11県の施設でも実施している。

 同社はこれまで、入所者全員の工賃を平均的に向上させてきたが、今回は就業能力の高い障害者に「しっかりと働ける職場」を提供し、作業適性や作業効率を追求することで、自立に近づけることを目指す。

 「最近、『くちづけ』という映画を見て、取り組みへの思いを強くした」と話す長倉オーナー。知的障害のある娘を持ち、死を目前に迎えた父の心の葛藤を描いた作品で、自身も障害者の保護者から、先に亡くなるであろう自分たちを失った後の子どもの生活を案ずる声を聞いてきた。「今回の取り組みで一人でも自立に近づけたい。仕事だけでなく生活もフォローできる施設に発展できれば」と意気込む。


「一人でも自立に近づけたい」と話す長倉オーナー

大阪日日新聞- 2013年6月13日

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