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精神障害者の詩を画家が絵画に 地域交流、絵筆で支える 今年で5年目、相模原で /神奈川

 精神に障害がある人たちの詩をイメージして、プロ・アマの画家が絵画を描く「詩と絵画のコラボレーション展」が、相模原市で5年目を迎える。今年は相模原、座間両市に住む統合失調症などの約70人が参加する。障害者が心情をつづる創作の機会を得ながら交友を広げ、地域社会との結びつきを得る場は、生きることへの希望を紡いでいる。

 閉ざされがちな生活の場を地域社会に広げようと2009年、障害者40人の作った詩に相模原芸術家協会会員が描いた絵を添え、初めて「詩と絵画のコラボ展」が開かれた。障害者が創作を通じて前向きな気持ちになり、地域社会に踏み出すきっかけとなった。

 第10回上野の森美術館大賞を受賞した日本画家の戸田みどりさん(63)は、創作に励む障害者の思いを受け止めて、社会参加をもっと進めようとコラボ展継続を計画。10年に障害者51人が参加した第2回展を開いた。60歳以上が芸術などを学ぶ相模原市あじさい大学で、戸田さんに師事して日本画や水墨画を学んだ「みどり会」(岡村郁雄会長)メンバーらも協力した。

 障害者にとって、詩に込めた思いを受け止めて絵を描く人たちとの協働は、社会での生きづらさから解放される一歩となった。詩だけでなく絵画の創作意欲を湧かせ、11年の第3回展に4人、12年の第4回展には6人が詩画を出展した。

 11年の詩画作品66点と12年の詩画作品69点は「詩と絵画の出会い」(A5判)として出版された。「相模原を芸術の街に」と取り組む「相鑑舎」(相模原市中央区宮下、橋本欽至代表)が協力し製作費を全て負担した。

 今年のコラボ展に向け今月初めに66編の詩が戸田さんの元に届いた。「みどり会」の岡村会長らが絵の担当を割り振った。第5回記念展は12月5〜9日、中央区相模原のJR相模原駅ビルの市民ギャラリーで開かれる。

 戸田さんは自宅アトリエで「光の方へ」と題した詩を見ながらデッサンを描いた。「自分の才能が引き出されることで障害者が自信を持ち、社会への関わりを広めていく接点になることを願っている」と話した。

 「詩と絵画の出会い」は11年版、12年版とも1000円。問い合わせは地域活動支援センター・カミング(042・759・5117)。

毎日新聞 2013年06月17日 地方版

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