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Channel: ゴエモンのつぶやき
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買って楽しむ 障害者支える

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 各地の障害者施設で作られる食品や雑貨などの品が、注目を集めている。素材や作り方にこだわったものが多い。買い物を楽しみつつ、障害者の自立をささやかにでも支えたい。

 7種の香り こだわりのハーブソルト

 夏の日差しの下で、様々なハーブが葉を広げていた。

 福岡市早良区の就労支援事業所「アベル」は2007年から、約20種類のハーブを無農薬で栽培している。「それぞれ香りが違うんですよ」と、職員の原田摂子さん。

 レモンタイムは、かんきつ類のようなさわやかな香り。セージはスパイシーな感じだ。これにローズマリーやローリエなどを加え、計7種類の葉を粉末にして塩と混ぜ、調味料の「ハーブソルト」を生産している。


ハーブの加工手順について説明する原田さん(中央奥)。茎を取り除く作業を担当するメンバーの一人は「最初の頃より長時間、集中できるようになった」と話す.

 葉を低温で乾燥させ、きれいな緑色のまま粉末にする手法を考案。塩も沖縄とイタリア産にこだわった。

 市が10年に始めた障害者施設の商品コンクール「ときめきセレクション」に出品したところ、葉の色や香り、味の良さが評価され、3年連続で金賞を受賞した。

 栽培や加工作業は、約20人の通所メンバーが行っている。発達障害と呼ばれる先天性の脳機能障害を持つ男性が中心だ。学力は高いが対人関係が苦手で周りになじめないケースが多く、一時は引きこもりになった人もいるという。

 「社会復帰のトレーニングに、農作業は最適です」と原田さん。発達障害の人はこだわりが強く、スケジュールの変更が苦手なことも多い。だが、畑では雨で作業が中断することも多く、次第に状況の変化に慣れてくるという。

 取引先のイタリア料理店や地域生協の店舗に納品に行くのも、訓練の一つだ。ほかにもマンションの清掃や介護施設のボランティアなど、様々な体験を重ねる。

 アベルでずっと働く人もいれば、就活をする人もいる。昨年は10人、今年は5人が就職した。倉庫整理の仕事についた男性は、「ハーブの草取りの方が今よりきつかった」と冗談めかして言ったそうだ。「作業を通して体と心を鍛え、働く喜びを知ってもらえたらうれしい」と原田さんは話す。

     ◇

自家栽培しているハーブ(いずれも福岡市早良区で)

 福岡市は3年前、障害者施設の商品開発や販路開拓を支援する「ときめきプロジェクト」を始めた。コンクールはその一つだ。

 様々な商品を広く紹介しようと、市内の中心部にアンテナ店「ときめきショップ ありがた屋」を開設した。商品カタログも製作し、市役所や区役所で閲覧できるようにしている。

 4月には、障害者施設の産品の使用を省庁などに促す法律も施行された。市障がい者在宅支援課長の竹森活郎かつろうさん(47)は、「商品を買う人が増えれば、作り手の工賃がアップする。みんなで支え合う仕組みを広げたい」と話した。

(2013年7月21日 読売新聞)

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