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Channel: ゴエモンのつぶやき
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【障害者権利条約】差別解消へさらに前進を

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 障害者への差別を禁止し、社会参加を促す国連の障害者権利条約の締結がようやく国会で承認された。
 日本は2007年9月に署名したが、国内法整備に時間がかかり6年越しで批准が実現する。既に137カ国と欧州連合(EU)が締結済みだ。日本もやっと国際社会の流れに追い付くことになる。
 公共施設などのバリアフリー化が進み、障害者雇用率も伸びている。以前に比べ、障害者の社会進出が増えていることは確かだろう。
 とはいえ、心ない言葉を浴びせられたり、障害を理由にさまざまな機会を奪われたり、障害者への差別や虐待はいまだに存在する。条約批准をきっかけに、障害者の人権を守る取り組みをさらに前進させたい。
 条約は06年12月に国連総会で採択され、08年5月に発効した。障害者に健常者と平等な権利を保障し、社会参加に必要な措置を取るよう締約国に求めている。公共、民間の別を問わず、施設内で点字やスロープを整備しなければ「合理的配慮に欠けた差別」とみなされる。
 政府は条約の早期締結を目指していたが、障害者の間で「国内法が整備されておらず拙速だ」との批判があり、法律の見直しなどを先行してきた。
 11年7月、「共生社会の実現」を基本理念とする改正障害者基本法が成立した。これは教育や医療などで障害者が差別されることなく地域や社会に受け入れられる施策を国や自治体に求めるものだ。
 翌年には身体障害者手帳を持っていない難病患者も障害福祉サービスを受けられるようになることを柱とする障害者総合支援法を成立させた。
 そして批准に向けた最後の大きな法整備として、ことし6月に障害者差別解消法が成立した。公的機関や民間事業者を対象に、障害を理由に差別的な扱いをすることを禁じ、必要な配慮も義務付けた。差別の定義や配慮の具体例は今後示すという。
 法律が整備され、条約を批准しても差別が自然に解消するわけではない。当事者の立場から見れば、社会の障壁がまだまだ多いのは確かだ。より実効性を高めるための論議が欠かせない。
 障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい社会のために何ができるか。私たち一人一人が考える時が来ている。

高知新聞-2013年12月06日08時13分

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