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難病者や障害者応援 記念日は「おめかし写真」

 成人式や結婚式など人生の節目には、とっておきの写真を残したい。そんな難病患者や障害者の願いをかなえるNPO法人「エガールフォト」が神戸市中央区に設立された。

 シャッターを切るのはプロの写真家。接着テープで楽に着脱できる振り袖などを用意し、来年1月の成人式から本格的に活動を始める。

 発起人は、2008年から中央区内でフォトスタジオを経営する写真家・樋口裕美さん(45)=明石市=。小規模経営でバリアフリー化が進んでいない写真スタジオは、障害者や呼吸器を付けた病人にとって利用しにくいと気づいた樋口さんは「記念日を写真に残せない人もいるのではないか」と思ってきた。

 福祉施設に出張撮影を持ちかけたこともあるが「有料の写真撮影は困る」と敬遠されたという。「非営利ならば気軽に利用してもらえるかも」と、知人のヘアメークアーティスト3人に呼びかけて今年7月、NPOを設立。「写真に写る機会を等しくすべての人に」との願いを込め、フランス語で「平等」を意味する「egal(エガール)」を名称に選んだ。

 8月、たつの市の就労継続支援事業所に通う障害者ら5人に浴衣を着付けて、花火大会に出かける様子を撮り、写真データをプレゼント。利用者は「きれいに撮ってもらえて感激」と満面の笑みを浮かべたという。

 9月には、成人式でのサービスに向けた広告用写真を撮影。明石市在住の車いすテニス選手・上地結衣さん(19)にモデルを依頼した。潜在性二分脊椎症のために、生まれつき足などに障害を持ち、車いす生活を送る上地さんにとって、着物は最も縁遠いファッションだった。

 しかし、樋口さんらは着物の身ごろの上下を分離して、帯を接着テープで簡単に装着できる衣装を考案。上地さんは深紅の振り袖姿で写真に収まった。上地さんは「振り袖姿の成人式なんて無理と諦めていたけれど、体の負担が少なかった。一生の記念です」と喜んだ。

 NPOは来年の成人式シーズンから1人1万円の費用で、着付け、撮影を受け付ける。今後は、発達障害者のための写真教室や、院内学級への出張撮影サービスも計画している。

 樋口さんは「不可能と思っていたことに挑戦して実現していく人をサポートできるのがうれしい。色々な技術者を巻き込み、活動の輪を広げていきたい」と話している。

 NPOではリメーク用の古着の着物の提供者も募っている。問い合わせはエガールフォト(078・381・7075)へ。

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愛用のカメラを手に、障害を持つ人の夢を実現する喜びを語る樋口さん

(2013年12月14日 読売新聞)

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