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北海道・石狩市の手話条例「大きな一歩」 全国市町村で初、「言語法」整備へ弾み

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 【石狩】手話を「ことば」の一つと位置づけ、手話を使う市民が暮らしやすい環境をつくろうと、石狩市で2013年12月中旬に制定された「手話条例」。全国の市町村では初めてで、手話を理解し、手話でコミュニケーションのできる市民が増える―と期待されている。聴覚障害者らは「手話言語法(仮称)の制定に向けた大きな一歩」と歓迎している。

 条例の正式名称は「石狩市手話に関する基本条例」で7条から成る。手話について「市民が使いやすい環境にしていくことは市の責務」とし、市による環境整備や施策推進を義務づけたほか、市民に対し「手話への理解を深め、市の施策に協力するよう努める」と規定した。

 「手話を使うことに恥ずかしさを感じてきた。条例ができて本当にうれしい」。今年4月の施行を前に、石狩聴力障害者協会の杉本五郎会長(66)が手話で喜びを語る。

 杉本さんは生まれつき難聴で、いまは全く聞こえない。小さいころ、両親とは読唇と発声による「口話法」で会話したが、言っていることが理解できないことが度々あり、分かったふりをした。当時は、学校でも手話が禁じられ、街中で手話を使うと健常者から物珍しそうに見られた。

 12歳になって、ほかのろうあ者と交流するうちに自然と手話が身についた。だが、「手話にためらいを感じながら暮らしてきた」と話す杉本さん。今、なぜ、石狩市で手話条例なのか。

 同市には聴覚障害者が約300人おり、このうち約50人が手話で生活をしている。健常者向け手話サークルが二つあり、約70人が活発に手話を学ぶ。

 そうした中、国学院大生時代に言語学を学んだ田岡克介市長は、手話を言語ととらえる杉本さんらとの交流を深め「手話が市民に広がれば会話ができ、障害が障害ではなくなる」と考えた。

 ただ、役所内では「『平和宣言』のように宣言ではだめか」「すでに市の手話通訳者もいる。十分では」などの反対意見もあった。

 「条例ができれば具体的な施策を展開できる。誰が何をするか、市民の役割も明確になる」と田岡市長。12年の石狩聴力障害者協会の新年会で、「手話の地位向上を目指した条例を制定したい」と宣言した。

 条例制定を受けて、市は、早ければ14年度にもタブレット端末を用いて遠隔地でも通訳できるサービスを提供したり、小学校などで手話学習を取り入れたりすることを検討している。

 同様の「手話条例」は13年10月に鳥取県で全国で初めて成立した。道内では十勝管内新得町が今年3月定例町議会に提案し、4月施行を目指す考えだ。

 こうした動きの先には、手話を言語として法律で位置づける「手話言語法」の制定がある。全日本ろうあ連盟(東京)は10年に法律の専門家らと研究会を立ち上げ、すでに6章21条から成る法案を作成、ホームページ上で公開している。

 法整備されれば、災害時にテレビ放送で手話通訳や字幕が義務化されたり、乳幼児の聴覚に異常があった場合に手話による子育て支援を受けられたりすることが期待される。

 手話言語法の制定をめぐっては、道内では札幌や釧路などの議会が、都道府県でも富山や鳥取の県議会が、制定を求める意見書を可決している。全日本ろうあ連盟の石野富志三郎(ふじさぶろう)理事長は「人口の少ない石狩市で条例が可決され、感激した。法律の制定に向けて大きな弾みになる」と喜んでいる。

北海道新聞 :(01/02 12:17)

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