本や会議資料の文面をパソコンでデータ化し、自動読み上げ機能などを使って、視覚障害のある人が利用しやすくする活動に「全国音訳ボランティアネットワーク」(事務局・東京)が取り組んでいる。人が読んで録音する従来の「録音図書」に比べ、効率的な作成が可能で、文字の拡大や点字への変換も容易だ。
同ネットは全国約190団体と個人約230人で組織。録音図書をつくる傍ら2012年秋ごろからデータ化の取り組みを始め、各地で55人ほどが制作に加わっている。
作業はスキャナーで本のページを画像データに変換、パソコンで解析して文字データ(テキストファイル)をつくる。ボランティアが数字の「1」をアルファベットの「I」とするなど誤認識を修正、図表や写真の説明を加える。完成したテキストファイルは、パソコンの自動読み上げ機能などを使って利用できる。
同ネットの藤田晶子代表によると、きっかけは東日本大震災直後、十分な災害情報を得られないと視覚障害者から相談があったことだ。本1冊分の録音には急いでも2〜3カ月かかる。「困っている人がいるなら私たちがやろう」と取り組みを決めた。これまでに書籍約40冊、会議資料50〜60部のテキストファイルを教員や学生らに届けた。
「弱視者用の参考書はなく、ボランティアの協力がなければ効率的に勉強できない」。山口県周南市の糸野和恵さん(56)は英語や生物の問題集など4冊のデータ化を依頼した。東京の特別支援学校高等部3年生で、大学受験を目指す次男の海生さん(18)のためだ。
紙の本を拡大してモニターに映す機器もあるが、視野が狭く、視力が低いため一度に見ることができる文字数は少ない。テキストファイルは書き込みもできるため、勉強がはかどるという。点字や録音図書などをネットを通じ利用できる「サピエ図書館」などもあるが、新刊や専門書をすぐに読むのは難しかった。
日本経済新聞 : 2014/1/15 12:41
同ネットは全国約190団体と個人約230人で組織。録音図書をつくる傍ら2012年秋ごろからデータ化の取り組みを始め、各地で55人ほどが制作に加わっている。
作業はスキャナーで本のページを画像データに変換、パソコンで解析して文字データ(テキストファイル)をつくる。ボランティアが数字の「1」をアルファベットの「I」とするなど誤認識を修正、図表や写真の説明を加える。完成したテキストファイルは、パソコンの自動読み上げ機能などを使って利用できる。
同ネットの藤田晶子代表によると、きっかけは東日本大震災直後、十分な災害情報を得られないと視覚障害者から相談があったことだ。本1冊分の録音には急いでも2〜3カ月かかる。「困っている人がいるなら私たちがやろう」と取り組みを決めた。これまでに書籍約40冊、会議資料50〜60部のテキストファイルを教員や学生らに届けた。
「弱視者用の参考書はなく、ボランティアの協力がなければ効率的に勉強できない」。山口県周南市の糸野和恵さん(56)は英語や生物の問題集など4冊のデータ化を依頼した。東京の特別支援学校高等部3年生で、大学受験を目指す次男の海生さん(18)のためだ。
紙の本を拡大してモニターに映す機器もあるが、視野が狭く、視力が低いため一度に見ることができる文字数は少ない。テキストファイルは書き込みもできるため、勉強がはかどるという。点字や録音図書などをネットを通じ利用できる「サピエ図書館」などもあるが、新刊や専門書をすぐに読むのは難しかった。
日本経済新聞 : 2014/1/15 12:41