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精神障害忘れないで「年金」 (上)進まない手続き

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 障害を負ったときのセーフティーネット「障害年金」。厚生労働省が昨年に発表した調査では、障害年金受給の可能性があるのに受給していない人は身体障害で0・4%。比較的理解の進む身体障害に比べ、精神障害は、非受給率が高いとされる。背景と最近の手続き事情を二回に分けて伝える。

 愛知県精神障害者家族会連合会(愛家連)や名古屋市精神障害者家族会連合会(名家連)の相談電話では、電話してきた人に、精神障害者保健福祉手帳と障害年金について聞くようにしている。本来、もらえる障害年金を受けずに、生活に困窮する人を何人も見てきたからだ。

 「『年金って何ですか』という反応が六〜七割」と、相談電話を受ける名家連の堀場洋二会長は話す。障害年金自体が知られていないという。

 それ以外にも、年金受給を阻む要因はたくさんある。「症状が出てしばらくは、家族も精神疾患の症状に巻き込まれて大変。年金の手続きとか考える余裕もない人が多い」と愛家連の木全義治会長は話す。

 若い年代で突然、障害者になることも、受給を阻む壁だ。精神障害の原因の病気の代表例、統合失調症は、二十歳前後で発症しやすい。発症直後は激しい症状が出やすく、特に社会生活が難しくなる時期。受診もままならず、保険料の納付も後回しになりがち。未納の多さで支給要件=別項=を満たせなくなる人もいる。病気は親にも本人にも不測の事態。親元を離れた学生で未納が起きやすい。

 障害年金専門の社会保険労務士、中島由恵さん=愛知県豊橋市=によると「障害年金を申請すると、障害が周りに分かるから」と、手続きをためらう本人や家族もいる。誤解と病気への偏見が手続きの壁になっている。症状を本人が認めにくい病気の特性や「そのうち良くなる」という期待も、手続きを遅らせる。

 保険料の納付など、医療機関で把握しにくい情報が絡む年金は、精神障害福祉手帳に比べ、医療機関のソーシャルワーカーが注意喚起しにくく、当事者が気付きにくいという。

 申請の書類作りで挫折し、諦めるケースも精神障害では多いという。障害が原因で家族との関係が悪くなるなどして、本人一人で申請書を整える人が多い。病気の経過や、通院の状況などをまとめるが、「何を書くべきか分からないという人は多い」と中島さん。

 申立書に日常生活の状況ではなく周囲への恨みを書き連ねるなど、年金事務所の求める情報が欠けた書類を提出して却下されることも。そうしたケースでも、専門家の助言を受けたり、専門家に依頼したりして書類を整えて再申請すれば、受給に結び付く例もあると中島さんは指摘。「申請の却下で自信をなくし、再申請をためらう人も多いが、申請をめぐる環境も変わってきている。一度申請して棄却されても、あきらめないで」とも話す。


名古屋市精神障害者家族会連合会の電話相談の部屋では、障害年金について聞くよう、相談員に呼びかけている=名古屋市熱田区の健身会館で

◆障害年金支給の要件

 障害につながる病気で、初めて医者にかかった日が20歳より前か、20歳以降なら、初診日に年金制度に加入しており、初診日の属する月の前々月までの期間で(1)直近1年間の保険料の未納がない(2)保険料の納付期間と免除期間の合計が、被保険者期間の3分の2以上−のいずれかを、初診日前日の時点で満たすことが条件。その上で初診から1年6カ月の「障害認定日」以後、一定以上の障害が認められれば、請求に基づき年金が払われる。障害基礎年金1級は年額97万3100円、2級は77万8500円。初診日に厚生年金に入っていれば、障害厚生年金も受けられる。

 <精神障害者の障害年金などの相談先> 愛家連の相談電話(月・木、前10〜後3)=電052(265)9213、全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)相談室(月・水・金、前10〜正午、後1〜3)=電03(6907)9212



中日新聞 -2014年1月23日


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