京都市が市身体障害者リハビリセンター付属病院(中京区)の廃止方針を決める際、頸髄(けいずい)損傷など重度障害者の受け入れ可能な民間病院の実態を調査していないことが5日、分かった。受け入れ施設がなければ新たな「リハビリ難民」を生む可能性があり、受け入れ施設の実態を把握しないままの見切り発車に疑問の声が出ている。
市は付属病院を閉院する理由について、代替可能な民間病院の病床数が増えたことをあげる。市内には診療報酬制度上、同じタイプの病床が20病院1508床あり「40床の付属病院を閉院しても患者を民間病院で受け入れられる」としている。
しかし、20病院のうちのある病院の担当者からは「付属病院が受け入れる症状の患者を受け入れるのは現実としては無理」との声が出ている。
付属病院は入院日数制限を超え長期リハビリを必要とする重い障害を負った患者の貴重な受け入れ先の一つ。市が付属病院と同じタイプと分類した民間病院は、障害者病棟を持ち長期入院は可能だが、病院によっては重症心身障害児者に特化するなど、受け入れる患者の障害のタイプは異なり、ひとくくりにできないのが実態だ。
受け入れ先の実態について市は、統計的な数字の資料を参考にしただけで、調査はしていない。病院存続を求める患者団体が代替可能な病院を尋ねても、具体的な回答がないという。
市内の民間病院に勤務するリハビリ専門医師は「市内に付属病院と同じリハビリ機能をもった障害者病棟の民間病院が本当にあると言えるのか。閉院は、少なくとも長期のリハビリが必要となる頸髄損傷の患者を京都市が切り捨てることになる」と話し、実態調査をしない市の姿勢を批判している。
市は「制度上同じ病床があるのだから、民間で受けられるはずで問題はない」とし、14日開会の2月定例市議会に、来年3月末で閉院するための条例改正案を提案する方針。
<病院でのリハビリ>症状によって最長180日まで入院し集中的にリハビリを受ける回復期リハビリテーション病棟での入院が一般的。多くは回復期でリハビリ治療を終え、在宅、通院に変わるが、日数制限内にリハビリが終わらない患者への対応が課題となっている。付属病院は開設から約30年、回復期病棟並みのリハビリ治療に取り組み、課題に対応するため2006年度から入院日数制限のない障害者病棟に変更した。
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付属病院が入る京都市身体障害者リハビリテーションセンター(京都市中京区)
京都新聞 [2014年02月05日 16時30分 】
市は付属病院を閉院する理由について、代替可能な民間病院の病床数が増えたことをあげる。市内には診療報酬制度上、同じタイプの病床が20病院1508床あり「40床の付属病院を閉院しても患者を民間病院で受け入れられる」としている。
しかし、20病院のうちのある病院の担当者からは「付属病院が受け入れる症状の患者を受け入れるのは現実としては無理」との声が出ている。
付属病院は入院日数制限を超え長期リハビリを必要とする重い障害を負った患者の貴重な受け入れ先の一つ。市が付属病院と同じタイプと分類した民間病院は、障害者病棟を持ち長期入院は可能だが、病院によっては重症心身障害児者に特化するなど、受け入れる患者の障害のタイプは異なり、ひとくくりにできないのが実態だ。
受け入れ先の実態について市は、統計的な数字の資料を参考にしただけで、調査はしていない。病院存続を求める患者団体が代替可能な病院を尋ねても、具体的な回答がないという。
市内の民間病院に勤務するリハビリ専門医師は「市内に付属病院と同じリハビリ機能をもった障害者病棟の民間病院が本当にあると言えるのか。閉院は、少なくとも長期のリハビリが必要となる頸髄損傷の患者を京都市が切り捨てることになる」と話し、実態調査をしない市の姿勢を批判している。
市は「制度上同じ病床があるのだから、民間で受けられるはずで問題はない」とし、14日開会の2月定例市議会に、来年3月末で閉院するための条例改正案を提案する方針。
<病院でのリハビリ>症状によって最長180日まで入院し集中的にリハビリを受ける回復期リハビリテーション病棟での入院が一般的。多くは回復期でリハビリ治療を終え、在宅、通院に変わるが、日数制限内にリハビリが終わらない患者への対応が課題となっている。付属病院は開設から約30年、回復期病棟並みのリハビリ治療に取り組み、課題に対応するため2006年度から入院日数制限のない障害者病棟に変更した。
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付属病院が入る京都市身体障害者リハビリテーションセンター(京都市中京区)
京都新聞 [2014年02月05日 16時30分 】