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障害を表現に 生きた30年 劇団態変が記念公演

 創立30周年を迎えた、身体障害者による身体表現団体「劇団態変」。第60回公演「Over the Rainbow−虹の彼方(かなた)に」(21〜23日、ABCホール)の上演を前に、金満里代表は「30周年を節目に盛り上げて、何とか公演を見てもらいたい」と訴える。

 金さんは、日本で活躍した韓国古典芸能家の金紅珠さんの娘。3歳でかかったポリオが原因で全身まひの重度身体障害者になった。1983年、身体障害そのものを「美であり表現であり個性」ととらえ同団を旗揚げ。現在は大阪市東淀川区のアトリエ「メタモルホール」を拠点に、賛助会員の支えで自主運営している。

 新作は「大人社会が真剣に若者に向き合っておらず、若者は自信を持てないまま精神的に追い詰められていると感じる」という金さんが、その現状を「宇宙人」という目線で切り取った。廃虚となった地球に、異星から悪ガキが捨てられてくるところから始まる。

 「宇宙人は、私たち身体障害者が幼いころからかわれた経験のある言葉。障害者にとって案外身近なんです」とあっけらかんと語る。概念も言語もない宇宙人は、お互い反発し、他者を認めず、孤独のふちにはまる。

 「すったもんだを繰り返し、生きるか死ぬか行きつくところまで行き、言語を超え、仲間意識が芽生える。これまで、正義や愛を否定してきたが、最近は、一人では生きていけない、協力や情報交換、分け合うといった、関係性を生み出していく過程に興味が出始めた」という。

 新作では、旗揚げ時も共演した山本公成さんがジャズを演奏。「魂のぶつかり合い、真剣勝負」が、舞台上で交錯する。「どんな形でも生き残り、のびのびと輝こうと芸術性を獲得してきた。生命と魂のありようをこんなに身体で具現化し、空間に表現するのは、うちにしかできないこと」

 これまでに6人の仲間が先立った。「命を丸ごと預けてくれたような生きざまで、さすがだなと思う。そういう人たちの思いを考えると、もっとやっていけと言われているよう。地平を開拓する方に虹が見えている状態をつくりたい」と意気込む。

 21日午後6時半、22日午後1時半と同6時半、23日午後1時半の4公演。前売り一般3500円、当日4千円。会期中、ホールロビーで「劇団態変写真展」も開催する(300円、公演観劇者は無料)。問い合わせは電話06(6320)0344、同団へ。

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30周年を迎え記念公演を行う「劇団態変」

2014年3月16日 大阪日日新聞

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