Quantcast
Channel: ゴエモンのつぶやき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

ドングリ料理レストランで障害者支援

$
0
0
 障害者が働き、栄養価の高いドングリ料理を出し、ドングリ粉を使った煎餅やクッキーも販売するレストランが盛況だ。経営するのは、就労継続支援A型事業所の運営も手がける企業「まちふく」(横浜市旭区)。ドングリを使った料理や商品を世の中に広めることで、加工作業を担当する障害者の雇用拡大に結びつける考えだ。(佐藤雄一)

 17日のランチ時、レストラン「レ・ドア」は、ほぼ満席だった。メニューには、ドングリの実を砕いた粉を練り込んだパスタやピザ、パンなどが並ぶ。ドングリ入りのクッキーを食べた近くの女性(50)は「ドングリの香りがすごくする。接客も丁寧だった」と満足そうだった。

 社長の田中博士さん(47)は20年以上、プロダンサーとして活動してきた。障害者をダンスパーティーに招待する支援事業に関わる中で、笑顔を絶やさない参加者たちの姿に感動した。「打算が全くなかった。自立できるように応援したい」

 目をつけたのは、縄文時代には主食だったとされるドングリだ。長年、ドングリの食品化を研究している平賀国雄さん(84)(海老名市在住)に出会い、協力を依頼。2012年11月、相鉄線三ツ境駅から徒歩2分の距離にあった洋食店の1階にレストラン、2階に事業所を開業した。

 田中さんや健常者7人のほか、身体・知的障害がある20〜64歳の28人が働いている。レストランで接客・調理するほか、事業所でドングリの殻を割ったり、実を砕いたりする。昨秋には、県内の公園や学校などでドングリ約1・5トンを拾った。

 単純な手作業が多いが、一つ一つを丁寧に進めるスタッフの姿に、田中さんは「常に一生懸命。仕事ぶりは健常者に負けておらず、働けることに感謝している人が多い」と目を細める。

 商品の開発にも力を入れており、シンプルな味付けの「どんぐり煎餅」(50グラム、税込み260円)や「どんぐり茶」(2グラム×12包、同520円)、「どんぐり焼きドーナツ」(10種、同220円)など、多彩な品ぞろえがある。周辺の老人ホームやイベントなどでも販売している。

 相模女子大の野田艶子教授(栄養指導論)によると、まちふくのドングリ粉は強力粉や中華麺の乾麺などに比べて、カルシウムやマグネシウムが豊富に含まれていた。一方で、カルシウムの吸収を抑制するリンは比較的少ないという。普通は放置されているドングリを利用できる魅力がある。

 ゼロから始めた事業はようやく軌道に乗りかけているという。田中さんは「ドングリの魅力を広めて、一人でも多く自立できるための場を作り、社会に一歩踏み出す後押しをしたい」と、意欲十分だ。

 レストランの営業時間は午前11時半〜午後3時。ディナーは貸し切りのみ受け付けている。日曜・祝日定休。商品やレストランの問い合わせはまちふく(045・369・0168)へ。

2014年06月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>