平塚市の障害者施設が、地元の新鮮な農作物をジュースやジャムなどに加工する新工場「湘南工房」をオープンさせた。地元の農家やNPOなどと連携し、生産から販売までをネットワークで手がける「6次産業化」を実現。障害者の就労促進と共に、地域活性化の核になることを目指す。
今月5日に「湘南工房」の開所式を行ったのは、同市の社会福祉法人「進和学園」の就労支援施設「しんわルネッサンス」。リーマンショック後、受注の減った自動車部品の組み付け工場の一部を回転釜や搾汁機を備えた食品加工場に生まれ変わらせた。職員の指導のもと、知的障害者ら10人がトマトを洗ったり、煮込んだりする作業にあたる。
進和学園の久保寺一男統括施設長(62)によると、きっかけは一昨年、湘南のミカン農家支援に取り組むNPO法人「湘南スタイル」(茅ケ崎市)からの依頼だった。商品にならない摘果ミカンを活用するため、搾汁を請け負ってもらえないかと頼まれ、近くにある県の農業技術センターへ加工法を学びに。そこで「6次産業化」に国の補助金が出ることを知った。
なかでも、国が昨年度に始めた「6次産業化ネットワーク活動交付金」の仕組みに注目したという。法人内で完結するのではなく、地元農家やNPOなど地域の多くの事業者が連携して取り組む「6次産業化」を育成する政策で、新商品開発や販路開拓、加工・販売施設の整備などを支援する。「障害者の就労支援は仕事の確保が第一ですが、地域の農業振興に貢献できれば働くプライドにつながる。こんなうれしいことはないです」と久保寺さん。
事業は同交付金の県内第1号に選ばれた。工場の改装には約9100万円かかったが、約3300万円の補助金を受けることができたという。まずは7月以降、トマトジュースやピューレなどをJA直売所などで販売開始。その後、ホテルやレストランなどからの要望に細かく応じる受注製造も手がけ、5年後には20〜30人の就労、5千万円の売り上げを目指すという。
■6次産業化
6次産業化 農林水産の1次産業の従事者が、製造・加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)までを手がけ、所得増や地域活性化を目指す取り組み。2010年には6次産業化法が成立し、認定した計画に融資を優遇するなど国も推進している。
2014年06月25日 朝日新聞
今月5日に「湘南工房」の開所式を行ったのは、同市の社会福祉法人「進和学園」の就労支援施設「しんわルネッサンス」。リーマンショック後、受注の減った自動車部品の組み付け工場の一部を回転釜や搾汁機を備えた食品加工場に生まれ変わらせた。職員の指導のもと、知的障害者ら10人がトマトを洗ったり、煮込んだりする作業にあたる。
進和学園の久保寺一男統括施設長(62)によると、きっかけは一昨年、湘南のミカン農家支援に取り組むNPO法人「湘南スタイル」(茅ケ崎市)からの依頼だった。商品にならない摘果ミカンを活用するため、搾汁を請け負ってもらえないかと頼まれ、近くにある県の農業技術センターへ加工法を学びに。そこで「6次産業化」に国の補助金が出ることを知った。
なかでも、国が昨年度に始めた「6次産業化ネットワーク活動交付金」の仕組みに注目したという。法人内で完結するのではなく、地元農家やNPOなど地域の多くの事業者が連携して取り組む「6次産業化」を育成する政策で、新商品開発や販路開拓、加工・販売施設の整備などを支援する。「障害者の就労支援は仕事の確保が第一ですが、地域の農業振興に貢献できれば働くプライドにつながる。こんなうれしいことはないです」と久保寺さん。
事業は同交付金の県内第1号に選ばれた。工場の改装には約9100万円かかったが、約3300万円の補助金を受けることができたという。まずは7月以降、トマトジュースやピューレなどをJA直売所などで販売開始。その後、ホテルやレストランなどからの要望に細かく応じる受注製造も手がけ、5年後には20〜30人の就労、5千万円の売り上げを目指すという。
■6次産業化
6次産業化 農林水産の1次産業の従事者が、製造・加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)までを手がけ、所得増や地域活性化を目指す取り組み。2010年には6次産業化法が成立し、認定した計画に融資を優遇するなど国も推進している。
2014年06月25日 朝日新聞