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障害あっても「できる!」 筋ジス患う松戸の元パティシエ西村さん

 障害があってもやりたいことはできる−。歩行などが困難になる「筋ジストロフィー」を患うNPO法人スタッフ西村泰久さん(50)=松戸市常盤平=は、パティシエだった経験を生かし、スイーツづくりを通して子どもたちに障害者に対する理解や支え合う大切さを伝えている。 

 電動車いすで移動しながら西村さんが「オレンジの皮はナイフを上下に動かすと、むきやすいよ」と声を掛けると、子どもたちから「本当にむきやすい」と声が上がった。

 まつど市民活動サポートセンターで二十二日に開かれた体験教室「私もパティシエ?」。西村さんは小学生らにオレンジを使ったクレープ作りを教えていた。

 西村さんは小学生のころ、進級するごとに体力が落ちるのを実感した。当時は、病院でもこの病気への理解が進まず、原因は分からなかった。

 子どものころ母親がケーキやお菓子をよく作ってくれたことがきっかけで、高校卒業後、東京都内の老舗飲食会社の洋菓子部門で働き始めた。重い調理器具などを運ぶことができず、周囲の勧めもあり病院で診てもらったところ、ようやく筋力が低下する筋ジストロフィーと分かった。

 「病気と思っていなかったのですごくショックだった」が、前向きな性格や周囲の支えもあり、病気と向き合いながら働き続けた。しかし、歩くことが少しずつ難しくなり、四十二歳のとき退職した。

 障害者向けの陶芸や墨絵の教室に通ううちに、障害への理解を広めるボランティア活動をしている障害者と出会った。「人に役立つことをしたい」と思っていた西村さんは刺激を受け、四年前から菓子作りの腕を生かした活動を始めた。

 体験教室では、西村さんはスタッフに手伝ってもらいながら、自ら腕を振るってスイーツをつくる。「障害があってもできることがあることを、子どもたちに知ってほしい」という思いからだ。

 この日の体験教室の最後に、西村さん自らの体験を話して「困っている障害のある人やお年寄りがいたら声を掛けてほしい」と思いやりの大切さを訴え、こう語りかけた。

 「店を持つことが夢だったけれど、それ以上に、みんなとこうして出会えることがうれしい」

2014年6月28日 東京新聞

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