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Channel: ゴエモンのつぶやき
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つながり困窮者救え

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 ◇206事業者でセンター設立 今年度は子の学習支援や職員研修重点

 県内の社会福祉法人などが連携し、行政の制度や補助が不足している生活困窮者らを支援する取り組みが始まった。1日には19市町の206事業者が「滋賀の縁えにし創造実践センター」を設立。障害者の入浴支援や貧困家庭の子どもの学習支援など、様々な福祉分野の活動を展開し、行政に事業化を提案していきたい考えだ。(小野圭二郎)

 センターは、「障害者福祉の父」と呼ばれ、県内に障害者の入所施設を開いた糸賀一雄氏(1914〜68)の生誕100年に合わせて開設。県内の7割に当たる社会福祉法人や団体が参加しており、県社会福祉協議会を事務局に、要養護児童の自立や引きこもりに悩む人らの支援など、分野別に七つの小委員会を設ける。

 県介護福祉士会や県保育協議会、県身体障害者福祉協会なども名を連ね、様々な職種が横のつながりを強めることで、個別の施設や団体ではできなかった支援のあり方を模索する。

 支援対象は、障害者や、保護者が育てられない子ども、介護が必要な高齢者ら、これまで福祉施設などが対象としてきた困窮者のほか、引きこもりの中高年や貧困家庭の子どもらも含める。

 活動では、福祉現場で見つかった制度上の課題を持ち寄り、民間のノウハウや設備を生かして解決に向けたモデル事業を展開。事業費は、構成員の寄付などで基金を作って賄い、効果を検証しながら県や市町に事業を提案する。

 福祉ボランティア体験の機会を増やすなど、市民レベルでも困窮者への理解を深めてもらう取り組みを進める。

 1日に大津市で開かれた設立総会には約160人が参加し、センターの代表理事を務める県老人福祉施設協議会の前阪良憲会長が「制度で線引きすることなく、支えることこそ民間の福祉の役目」とあいさつ。今年度は貧困家庭の子どもの学習支援や居場所づくり、福祉関係職員の研修会などに取り組むことを確認した。

 ◇障害者の入浴回数など現行制度不十分

 県内の福祉団体関係者らがセンターを設立した背景には、障害者や高齢者らに対する現行制度が十分に応えられていないという問題がある。

 このうち県内に869人いる重症心身障害児者を巡っては、「訪問看護による入浴が週数回まで」といった制限があり、それ以上は費用面の自己負担が大きい。利用回数が限られていることで、介護する家族らの負担軽減につながっていない実情もある。体の状態から自宅の風呂の改修が必要な障害者もおり、センターでは高齢者向け施設での受け入れを検討する。

 一方、県内で165人が利用している児童養護施設は入所が原則18歳までで、退所後の支援制度は設けられていない。社会生活の知識や経験を身につける機会が限られ、仕事が続かず自立に挫折するケースもみられる。

 全国で子どもの貧困率が16・3%に悪化する中、学習環境の整備も求められており、センター所長の谷口郁美・県社協地域福祉部長は「ボランティアの手も借りながら、既存の施設利用の枠を超えて人材や設備を組み合わせることが、必ず解決への力になるはず」と強調している。

2014年09月05日 読売新聞

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