「さをり織り」に取り組む知的障害者や精神障害者の集団「アトリエサクラ」の作品展が福岡・天神のソラリアパークサイドギャラリーで開かれている。メンバー17人が利用する佐賀市大和町の「障害者支援センターSAKURA」が、作業工賃を上げるためにブランド化を進めた結果、作品の質が向上した。
色とりどりの糸から好きなものを選び、自分の感性で織り上げていくさをり織り。その布を何枚か使って、生と死をつかさどる神、デイダラボッチにしたり、人物を表現したり。結び方を工夫してのしを形作った「おめでとう」という作品を含め計19点が会場には展示されている。
2005年に設立された、障害者の就労支援や生活介護を担う「障害者支援センターSAKURA」は、さをり織りや家具の受注生産などを手がけ、売り上げから経費を引いた残りを、工賃として、利用するメンバーに分配している。
工賃が安かったため、引き上げる取り組みを07年に始めた。
作品についてはデザイナーから、販売方法についてはコンサルタントから助言を受けた。さをり織りなら、ストールだけではなく、できた布を使ってバッグや髪留め、コースターなどを作り、付加価値を高めることができた。
作者の個性を売り込むため、作者名や作品名、製作の意図を書いたカードを作品には添えた。この結果、07年度に月額約5700円だった工賃が、昨年度は約1万4千円にまで増えた。
支援センターのホームページでも作品を紹介していたのが、福岡市のさをり織り作家、赤司涼子さんの目にとまり、その誘いで今回の作品展が実現した。メンバーの作品に加えて赤司さんも13点を出展している。
15日まで。支援センター副施設長の角田美樹さんは「障害者が作ったという前提なしで、作品自体を見て感じて欲しい」と話す。
2014年9月11日03時00分 朝日新聞デジタル