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石巻・被災の障害者らがきょうオープン 「一歩ずつ」思い込め 住民との交流の場に /宮城

 東日本大震災の津波で働く場を失った石巻市の障害者や支援者たちが20日、同市千石町にビュッフェレストランをオープンする。家族を亡くす悲劇に見舞われたメンバーもいる中、「一歩ずつ進もう」との思いを込め、店名を「いち」と名付けた。店で働く知的障害者たちも多くの人の来店に期待を膨らませている。

 新しいレストランはJR石巻駅から徒歩10分あまり。庭はきれいに整えられ、店内は開放的で明るい。使われているテーブルやクッションのほとんどは障害者たちの手作りという。

 運営する社会福祉法人「石巻祥心会」は市内に9カ所の障害者支援施設を持ち、有機野菜の栽培やピザ・パンの製造などをしている。パンは県内の結婚式場から発注があるなど評価は高く、午前中に売り切れることもある。レストランでは、そんなピザやパスタ、デザートなどが1時間半食べ放題で1500円。ドリンク代は別途必要だが、ワインやコーヒーなどはいずれも1杯100円で提供する。

 石巻祥心会の宍戸義光理事長は「ようやくの完成。でもこれからが始まりです」と話す。震災前、障害者が通う事業所を8カ所、居住するグループホームを9カ所運営していたが、グループホームの3カ所が津波で全壊。事業所にいた通所者たちは避難して無事だったが、休みだった女性が1人亡くなり、門脇地区で廃材の分別作業をしていた作業場も使えなくなった。障害者たちの新たな働き場所を模索するうち、「障害者と地域の住民が交流でき、障害への理解が深まれば」と考え、レストランを作ることを思いついたという。

 20日開店する「いち」では同市門脇の通所施設「ひたかみ園」に通う知的障害者2人も働く。ホールで配膳を担当する佐藤久子さんは「震災の時は大変だった。いっぱいお客さんに来てほしい」と話す。

 震災時は市内の別の施設に通っており、避難して無事だったが、仕事場の畑が被災し仕事ができなくなった。2012年3月からは施設のパンや菓子を販売する店ができ、初めて接客の仕事を任された。おしゃべり好きな佐藤さんは人気者となり、佐藤さんに会いに来る常連客もいるという。

 「お客さんもスタッフもみんながニコニコになれる、雰囲気の良い店にしたい」。佐藤さんは意気込んでいる。

 営業時間は午前11時〜午後3時。水曜と木曜は休み。

毎日新聞 2014年09月20日 地方版


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