「なくそう心の段差」を合言葉に、宝塚市逆瀬川1の「アピア1」一帯で9日開かれた「第21回障害者週間記念事業・第14回身体障害者補助犬シンポジウム」。今年で成立・施行から10年を迎えた身体障害者補助犬法をテーマにした補助犬トークや小学生の学習発表、コンサートなどがあり、約500人が参加して障害者福祉への理解を深めた。
補助犬トークでは、介助犬エルモと暮らす木村佳友さん(52)が、駅員に「小学校の時に木村さんと介助犬シンシアの講演を聞いた」と笑顔で応対された体験を紹介。「子どもの時に学んだことが生きていると実感した。補助犬や障害者10+件について勉強する機会を」と教育の充実を訴えた。
衆院議員時代に補助犬法成立に尽力した同市の中川智子市長は、市内で設置を計画中のシンシアのモニュメントについて「像に触れることで補助犬について伝えたい。やさしいまち宝塚の象徴にしたい」と思いを語った。
フォークデュオ・紙ふうせんの後藤悦治郎さんと平山泰代さんは補助犬がテーマの「あなたの風になりたい」と「補助犬トリオ」を歌い、平山さんは「使用者に、何かお手伝いしましょうかと声を掛けて」と呼び掛けた。
宝塚障害福祉市民懇談会などが募集した「障がい者(児)の幸せを考える標語・作文」の表彰もあった。標語は、西之上創太郎さん(市立光明小4年)の「声かける それがぼくの できること」が入選。陰山順子さん(一般)と角倉愛美さん(市立宝塚第一中1年)が佳作に選ばれた。作文は、遠藤里絵さん(一般)の「色を描いて生きる」が入選。難波莉子さん(市立仁川小5年)と鬼塚陵さん(市立山手台中3年)が佳作に選ばれた。
補助犬トークに先立って開かれた「子どもシンポジウム」では、宝塚市立光明小4年の児童21人が「もっと・かかわり合い」をテーマに1年間の福祉学習の成果を発表。学校の外に飛び出したグループは、点字電話帳や横断歩道手前の点字ブロック、エレベーターの車椅子利用者用のボタンなど「障害のある方に優しい物がいっぱいあることに気付いた」という。点字毎日について調べた太田朝美さん(10)は「身近なところに障害を持つ人を支える物があることに気付いた。私ももっと関心を持とうと思う」と話した。
アピア1の2階に設けられた「ふれあい広場」では、日本介助犬協会のPR犬・グレース(雌5歳)がデモンストレーションを行い、地元の音楽グループが演奏を披露した。
同協会の水上言(こと)訓練部長とトレーナーの柴原永佳(はるか)さんが指示し、冷蔵庫の裏に隠した携帯電話をグレースがくわえて運んでくると、会場から大きな拍手がわき起こった。観客の宝塚市の公務員、中原郁乃さん(40)は「人と犬の絆を感じた。補助犬の仕事を通して、障害のある人が生活の中で具体的に何に困っているのか知ることもできた」と話した。
また、県立こやの里特別支援学校(伊丹市)ギター部の卒業生でつくる音楽グループ「Koya STAR☆S」が「サンタが街にやってくる」や山下達郎さんの「クリスマス・イブ」など5曲を披露した。指導役の左尾隆浩さん(36)は「人前で演奏することが少ないので、緊張したと思うが、最後まで演奏できてよかった」と話した。【米山淳、宮武祐希】
◇堀川ひとみさん、自作の曲を熱唱
アピアホールでは、発達障害のあるシンガー・ソングライター、堀川ひとみさんのミニコンサートがあり、前日に関東からの新幹線の中で思い浮かび、一日で作った補助犬の歌「君は私の味方」を初披露した。堀川さんは黒いドレス姿でピアノを弾きながら計7曲を歌った。「君は私の味方」の「確かにここにある 君のぬくもりが かたくなだった私の心 溶かしてくれた」という詞に、来場者は目を閉じたり、うなずいたりして聴き入った。
堀川さんは歌の合間に、コミュニケーションが苦手で、誤解されやすい発達障害の特徴を説明。「障害のあるなしに関係なく、互いに敬意を持ち、理解し合うことが大切」と呼び掛けた。
◇介助犬の仕事紹介コーナーも
○…ふれあい広場では「宝塚補助犬支援の会」がブースを設け、介助犬の仕事を紹介するポスターなどを展示し、介助犬のぬいぐるみ付きのストラップや缶バッジを販売した。グッズ購入者に補助犬についてまとめたチラシも配った。
メンバーの村上真理子さん(75)は「たくさんの人が会場に来てくれたので、補助犬のことを理解する人がさらに増えたと思う」と話した。
毎日新聞 2012年12月11日 〔阪神版〕
補助犬トークでは、介助犬エルモと暮らす木村佳友さん(52)が、駅員に「小学校の時に木村さんと介助犬シンシアの講演を聞いた」と笑顔で応対された体験を紹介。「子どもの時に学んだことが生きていると実感した。補助犬や障害者10+件について勉強する機会を」と教育の充実を訴えた。
衆院議員時代に補助犬法成立に尽力した同市の中川智子市長は、市内で設置を計画中のシンシアのモニュメントについて「像に触れることで補助犬について伝えたい。やさしいまち宝塚の象徴にしたい」と思いを語った。
フォークデュオ・紙ふうせんの後藤悦治郎さんと平山泰代さんは補助犬がテーマの「あなたの風になりたい」と「補助犬トリオ」を歌い、平山さんは「使用者に、何かお手伝いしましょうかと声を掛けて」と呼び掛けた。
宝塚障害福祉市民懇談会などが募集した「障がい者(児)の幸せを考える標語・作文」の表彰もあった。標語は、西之上創太郎さん(市立光明小4年)の「声かける それがぼくの できること」が入選。陰山順子さん(一般)と角倉愛美さん(市立宝塚第一中1年)が佳作に選ばれた。作文は、遠藤里絵さん(一般)の「色を描いて生きる」が入選。難波莉子さん(市立仁川小5年)と鬼塚陵さん(市立山手台中3年)が佳作に選ばれた。
補助犬トークに先立って開かれた「子どもシンポジウム」では、宝塚市立光明小4年の児童21人が「もっと・かかわり合い」をテーマに1年間の福祉学習の成果を発表。学校の外に飛び出したグループは、点字電話帳や横断歩道手前の点字ブロック、エレベーターの車椅子利用者用のボタンなど「障害のある方に優しい物がいっぱいあることに気付いた」という。点字毎日について調べた太田朝美さん(10)は「身近なところに障害を持つ人を支える物があることに気付いた。私ももっと関心を持とうと思う」と話した。
アピア1の2階に設けられた「ふれあい広場」では、日本介助犬協会のPR犬・グレース(雌5歳)がデモンストレーションを行い、地元の音楽グループが演奏を披露した。
同協会の水上言(こと)訓練部長とトレーナーの柴原永佳(はるか)さんが指示し、冷蔵庫の裏に隠した携帯電話をグレースがくわえて運んでくると、会場から大きな拍手がわき起こった。観客の宝塚市の公務員、中原郁乃さん(40)は「人と犬の絆を感じた。補助犬の仕事を通して、障害のある人が生活の中で具体的に何に困っているのか知ることもできた」と話した。
また、県立こやの里特別支援学校(伊丹市)ギター部の卒業生でつくる音楽グループ「Koya STAR☆S」が「サンタが街にやってくる」や山下達郎さんの「クリスマス・イブ」など5曲を披露した。指導役の左尾隆浩さん(36)は「人前で演奏することが少ないので、緊張したと思うが、最後まで演奏できてよかった」と話した。【米山淳、宮武祐希】
◇堀川ひとみさん、自作の曲を熱唱
アピアホールでは、発達障害のあるシンガー・ソングライター、堀川ひとみさんのミニコンサートがあり、前日に関東からの新幹線の中で思い浮かび、一日で作った補助犬の歌「君は私の味方」を初披露した。堀川さんは黒いドレス姿でピアノを弾きながら計7曲を歌った。「君は私の味方」の「確かにここにある 君のぬくもりが かたくなだった私の心 溶かしてくれた」という詞に、来場者は目を閉じたり、うなずいたりして聴き入った。
堀川さんは歌の合間に、コミュニケーションが苦手で、誤解されやすい発達障害の特徴を説明。「障害のあるなしに関係なく、互いに敬意を持ち、理解し合うことが大切」と呼び掛けた。
◇介助犬の仕事紹介コーナーも
○…ふれあい広場では「宝塚補助犬支援の会」がブースを設け、介助犬の仕事を紹介するポスターなどを展示し、介助犬のぬいぐるみ付きのストラップや缶バッジを販売した。グッズ購入者に補助犬についてまとめたチラシも配った。
メンバーの村上真理子さん(75)は「たくさんの人が会場に来てくれたので、補助犬のことを理解する人がさらに増えたと思う」と話した。
毎日新聞 2012年12月11日 〔阪神版〕