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童話作家の夢胸に出版 脳性まひの藤原さん(越知町)

 高岡郡越知町在住の脳性まひの女性が、想像力を膨らませて書いたファンタジーと自身の生き方に触れた詩集を1冊にまとめ、このほど刊行した。同町野老山の藤原恵さん(34)。地元の福祉事業所で働きながら、「童話作家になりたい」という夢を胸に、執筆作業に取り組んでいる。

 藤原さんは生まれて間もなく脳性まひと診断された。高知市の高知若草養護学校を卒業し1997年、さくら福祉事業所越知分場「どんぐり」へ入所。手足はうまく動かせないが、自分のペースで仕事をこなす。
 藤原さんは幼い頃から読書好きで、伝記物やファンタジーをよく読んだ。書くのも好きで、入所直後から本格的に執筆を開始。時間を見つけては自宅で、ボールペンを手に原稿用紙に向かった。
 ストーリーが浮かばず、ペンが止まるたびに、紙をくしゃくしゃに丸めて捨てた。「プロのようにはいきません」と苦笑いするが、15年間かけて10作近くのファンタジーと約30編の詩を書き上げた。
 執筆活動を知った同事業所の田村輝雄所長が「励みになれば」と企画し、ファンタジー4作と詩8編をまとめ、「不思議なポポロ森」として出版した。
 表題作のファンタジーは、人間界や天使界などでいじめられ、追い出された人たちが暮らす森に、王国を追放されたドラゴンが温かく迎えられる内容。
 詩は「私の背中にもしも羽があったなら 私は世界中を旅しよう。空の上から世界中を見るんだ。(中略)鳥達と一緒に飛ぶんだ。友達をたくさん作って『ヤッホー。』 とさけぶんだ。」(「もしも羽があったなら」より)などを収めている。
 「自信はないけど、楽しく読んでもらえたら」と藤原さん。田村所長は「障害のある人や家族に、前向きに生きていく力を感じてもらいたい」と目を細める。
 文庫本サイズで全79ページ。販売はせず、同町などの小中学校や公立図書館などに置き、一部は希望者に配る。問い合わせは同事業所(0889・22・2113)へ。

高知新聞-2012年12月25日08時40分

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