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車いす生活にクルマガイド

 車いす生活で車の運転を始めるためのガイドブックを、社会福祉法人「香川ボランティア協会」が製作している。取材や編集には車いすの人も参加し、障害者による障害者のためのガイドを目指す。
 協会は今年度、企業の商品開発を障害者がサポートする仕組みを研究する「ものづくりソノまま研究室」を設置し、独立行政法人福祉医療機構の助成事業に採択された。その一環で、「車いす生活になった時に最初に手にする本」をつくるアイデアをまとめた。
 第1弾として、障害者が自分で運転する「自操式」の車を取り上げることにした。「車いすだから」と車の運転を諦めた人が多いのでは、と考えたからだ。
 日本身体障害者団体連合会自動車協会(事務局・東京)によると、自操式の車を運転する障害者は全国に推定16万人ほどいる。運転免許は警察の適性検査に通れば取得でき、最近は障害者向け装置の開発も進んでいるため、相当重度の人でも運転できるという。
 ガイドブック製作のメンバーで高松市内に住む川田叡司さん(34)は12年前、スノーボードの事故で車いす生活になった。元々は自動車整備士で、車が大好きだった。
 事故後に始めた車いすバスケの遠征で他のメンバーが車を運転するのを見て、「自分も乗れるのかな」と思った。どうすれば乗れるのかと、リハビリの先生に聞いても分からない。本や口コミで情報を探して何とか車を改造し、8年前から運転を始めたという。「車に乗れて生活の幅が広がり、仕事も探せるようになった」。今はウェブデザインの仕事を手がける。
 同じく製作に参加している県作業療法士会の植野英一会長は「リハビリの現場も、車いすの人が車を運転するために何が必要かを具体的に知らない。そのような本があれば、生活に密着した機能を高めるための指導に役立つ」と話す。
 9月下旬、車いすバスケの大会があった高松市で、メンバーは自動車を運転する車いすの人たちをインタビューした。免許の取り方、車の選び方、車の改造箇所・費用などを細かく聞き、実際の乗り降りや、ハンドルや座席を改造した車内なども動画で撮影した。
 研究会事務局の三野晃一さんは「事例をたくさん集め、障害の程度に合わせて参考にできるガイドブックにしたい」と話す。完成したガイドは、電子出版やタブレット端末のアプリにすることも検討中だ。
 20分以上のインタビューに答えていた愛媛県新居浜市の和泉幸治さん(33)は「僕も色んな人から車の運転を教わった。僕も色んな人に教えたい」と意気込みを見せる。「車がないと僕らは数百メートルの世界しかない。あれば無限ですよ」
 研究室では編集作業への参加希望者を募っている。問い合わせは研究室(087・814・8284)へ。

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朝日新聞-2012年10月23日

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