佐賀県みやき町の独立行政法人国立病院機構・東佐賀病院に入院している重症心身障害者の中村綾香さん(20)の成人式が6日、同病院関係者らの企画で行われた。
同病院で5歳から入院生活を送る綾香さんは、町主催の成人式の案内が届いたが、出席できなかったため、手作りの式で節目を祝った。母親のあけみさん(46)の目からは、感謝の気持ちで涙があふれた。
綾香さんは福岡県大木町出身で、1992年12月、2人の兄とともに体重580グラムの未熟児で生まれた。生後から入退院を繰り返し、一時的に自宅に戻っていた4歳の頃、容体が悪化して病院に救急搬送された。脳に重い障害を負ったほか、四肢が不自由となった。5歳の時からは東佐賀病院に入院。手や口などはわずかに動くが、会話はできない状態が続く。
東佐賀病院の看護師らは、綾香さんがみやき町の成人式に出席できなかったことから、病棟での手作りの式を計画。インフルエンザの流行期を避けて、成人の日から約2か月遅れで開いた。
式にはあけみさん、祖母の中村フミカさん(72)、綾香さんが以前通った県立中原特別支援学校(みやき町)の教諭、病院関係者ら計約30人が参加。綾香さんは、「七五三などのために」と、親類が買ってくれていた朱色の晴れ着を初めてまとって出席した。看護師らが綾香さんの生い立ちをテーマに制作したDVDも、スクリーンで上映された。
同病院の貞松篤院長は「重い障害はあるが、健やかに過ごせるように全力を尽くしたい」とあいさつし、続いて同学校小学部の担任教諭だった佐藤尚子さん(48)は「学校では、大きな目をぱちぱちさせて感情を伝えてくれた。気持ちを通じ合わせることの大切さを教えてもらった」と振り返った。
あけみさんは、祝福の声を涙をぬぐいながら聞き、「娘は20年間、多くの人に支えられて生きてきた。きょうはたくさんの人に囲まれて緊張した様子だが、喜んでいる。障害があっても命の重みは同じです」と語った。
(2013年3月7日 読売新聞)
同病院で5歳から入院生活を送る綾香さんは、町主催の成人式の案内が届いたが、出席できなかったため、手作りの式で節目を祝った。母親のあけみさん(46)の目からは、感謝の気持ちで涙があふれた。
綾香さんは福岡県大木町出身で、1992年12月、2人の兄とともに体重580グラムの未熟児で生まれた。生後から入退院を繰り返し、一時的に自宅に戻っていた4歳の頃、容体が悪化して病院に救急搬送された。脳に重い障害を負ったほか、四肢が不自由となった。5歳の時からは東佐賀病院に入院。手や口などはわずかに動くが、会話はできない状態が続く。
東佐賀病院の看護師らは、綾香さんがみやき町の成人式に出席できなかったことから、病棟での手作りの式を計画。インフルエンザの流行期を避けて、成人の日から約2か月遅れで開いた。
式にはあけみさん、祖母の中村フミカさん(72)、綾香さんが以前通った県立中原特別支援学校(みやき町)の教諭、病院関係者ら計約30人が参加。綾香さんは、「七五三などのために」と、親類が買ってくれていた朱色の晴れ着を初めてまとって出席した。看護師らが綾香さんの生い立ちをテーマに制作したDVDも、スクリーンで上映された。
同病院の貞松篤院長は「重い障害はあるが、健やかに過ごせるように全力を尽くしたい」とあいさつし、続いて同学校小学部の担任教諭だった佐藤尚子さん(48)は「学校では、大きな目をぱちぱちさせて感情を伝えてくれた。気持ちを通じ合わせることの大切さを教えてもらった」と振り返った。
あけみさんは、祝福の声を涙をぬぐいながら聞き、「娘は20年間、多くの人に支えられて生きてきた。きょうはたくさんの人に囲まれて緊張した様子だが、喜んでいる。障害があっても命の重みは同じです」と語った。
(2013年3月7日 読売新聞)